人の姿と犬の姿、ふたつの姿を持つ忍者“ワンニン”である女の子ハヅキは、修行を終えて、ご主人様の待つエドへ。道すがら妖怪に襲われた子供をヘタレ侍と協力して助けるのだが、そのお侍様がなんとハヅキのご主人様・光慶（みつよし）だった。偶然、人間の姿で出会ってしまったふたりはお互いのことが気になり始めて……。しかし、“ワンニン”には掟があった。それは、ご主人様に特別な感情を抱いてはいけない、という掟。

時はエド。犬と人、ふたつの姿を持つ“ワンニン”のハヅキは、将軍の弟であらせられる一橋（ひとつばし）家当主・光慶（みつよし）様に仕えておりました。ハヅキは必死に自分の正体を隠しているのでございますが、ご主人の光慶様は人間の姿のハヅキが気になるご様子。とうとうハヅキのことを探し始めたのでございます。しかし、【ワンニンの掟】では、犬であり人であるという正体がばれたら里に強制送還。さてさて、ハヅキの運命はいかに……。

犬と人、ふたつの姿を持つ“ワンニン”のハヅキはご主人様である光慶（みつよし）様から想いを寄せられておりました。しかし、光慶様はハヅキが“ワンニン”であることをご存じありません。妖と人との壁を感じながら自分の想いを認めようとはしないハヅキ……。過去にご主人様に特別な感情を抱いた“ワンニン”たちは悲しい末路をたどっております。将軍継承問題もあいまって、ハヅキと光慶様の恋模様には暗雲が立ち込めてまいりました……。

武士が政をつかさどる世。将軍家に、そして人間に恨みをもつ妖がエド城に侵入いたしました。将軍家を守るワンニンとそれらの妖との闘いがはじまったのでございます。闘いの末にハヅキは、身分の差、人間と妖……ご主人様との間に越えられない違いがあることを実感いたします。ご主人様のほうは、ハヅキを想うがゆえに、その正体に近づいてしまわれるのです。想いあうふたりの行く末は果たして……。

犬耳くのいち痛快ラブ忍法帖、ついに完結!!　今は昔。ワンニンのハヅキと将軍の弟・光慶（みつよし）様は互いに想いあっておりました。しかし、ふたりの間には主従以外にも人と妖という壁がございます。その上、光慶様には将軍就任のお話まで出てまいりました。身を引こうとするハヅキ……。その時、ハヅキを想うがゆえに切ない行動を取るハンゾウ……、ハヅキの気持ちを知らずに想いをしまいこむ光慶様……。それぞれの恋の結末を皆様、どうか見届けてくださいませ。