『ヒミツ基地、ふしだら注意。』思い出のヒミツ基地が…まさかの●●部屋に?!

「遠くに行っても僕のこと忘れないでね」
ふたりで交わした小さな約束、遠い日の思い出を紡いだ大切なヒミツ基地・・・だったはずが・・・!?
幼い頃の思い出を胸に、懐かしい街へと戻ってきた愛理は幼馴染の時雨に会うのを楽しみにしていた・・・はずなのに!
コミックフェスタライター博臣が、ちょっぴりエッチな胸キュン?!おすすめ少女漫画をご紹介します!

懐かしい街へ、戻ってきました!

高校1年生の望月愛理は、小学校3年生まで住んでいた懐かしい街へと戻ってきた。
転入生として初めての登校日、幼い頃の大切な思い出を胸いっぱいに詰め込んで、幼馴染あの子に再会することを愛理はとても楽しみにしていた。クラスメイトのまどかに連れられて移動教室へ行く道中、忠告される。どうやら同じクラスに『やばい不良』がいるそう。暴力は日常茶飯事、酒やタバコも当たり前、捨てられた女の子は数知れず・・・!
そんな人物の話にドン引きしつつも、愛理達は廊下を歩く。

『ガシャーーーーーン!!』突然、愛理の真横のガラスが割れ、それと同時に、誰かが愛理達をガラスの破片から守るように押しのけた。
廊下に倒れ込んむ愛理。驚きながらも押した相手を見上げると、スラリと背の高い青い目の男の子だった。「アイツがやったんじゃない・・・!?」愛理の耳にそんな言葉が届く。ストレスでガラスを割ったの?勘弁してよね、と冷たい言葉と視線が彼を包んでいた。違う、と愛理は確信していた。ガラスの破片は内側に飛び散っている。制服をラフに着こなす黒髪の彼は、外から割れたガラスからわたし達を助けてくれたのだ、それなのに・・・みんなはどうして・・・。

どうして私の名前を知ってるの…?

とりあえず先生に状況説明を、と訴える愛理をマジマジと見つめる彼は、突然その青い瞳を見開き、「お前 愛理か」 と言う。
窓に押し付けられて、突然名前を呼ばれた愛理。どうして私の名前を・・・!?そんな愛理の赤い頬を手の平で包み、黒髪の彼は顔を寄せた。
「お前が俺を忘れてるわけないよなぁ」触れ合うほどに近付くその青い瞳・・・。パニック状態の愛理は、嫌だと彼を突き飛ばしてしまう。
慌てて謝罪する愛理に、彼は瞳を曇らせる。「お前にとって俺はそんなもんなんだな」そのまま寂しげに立ち去る彼の残した言葉の意味を愛理はまだ理解できずにいた。

上園まこと先生の描くキャラクターは目で感情を表します。
この彼も、真剣な顔、寂しげな顔、どれもひとつひとつ瞳に表情があり、それを見るだけで台詞だけじゃない彼の感情がこちらに響いてくるようです。初対面のはずの愛理に告げた言葉の意味は・・・彼は一体何者なのでしょうか・・・?

わたしが守っていた、小さく弱い時雨

チャイムが鳴り、愛理の登校初日が終了。疲れた一日だった、とため息を漏らす愛理に、女生徒が話しかけてきた。
彼女達は小学校の時のかつてのクラスメイトだった。久しぶり!と懐かしみながら一緒に下校する愛理達は、昔話に花を咲かせる。当時の愛理はいじめっ子は許さない!みたいな委員長気質だったよね、とからかわれながらも、友人達が変わらず受け入れてくれたことに愛理は喜びを隠せない。

みんな見た目は大人になったけど、中身は昔のまま変わっていない。「時雨も 変わってないといいなぁ」愛理は一番大切な思い出を脳裏いっぱいに巡らせながら、ぽつりと呟いた。と、その瞬間、友人達の顔に戦慄が走る・・・。
「・・・いや あれは いちばん変わった かな・・・」声を曇らせながら、言いにくそうに告げた友人達の様子にまるで気付かず、愛理は会いたいとはしゃいだ。居場所がわからない、と言う友人達にも心当たりがあるから大丈夫!と愛理は笑顔だ。

時雨は、誰よりも弱くて泣き虫な男の子。いつも私が守ってあげてた小さな時雨。
「僕きっと強くなるから 会えなくても僕のこと 忘れないでね」幼い頃に交わした大事な大事な約束。その時雨がいるとしたら・・・ここしかない!
愛理がずっと会いたがっていた時雨といよいよ再会の時・・・?!あのうるうる顔のショタ君はどんな姿へと成長しているんでしょうか!

ふたりだけの思い出の場所のはずが…

時雨と愛理ふたりだけの合鍵を使い、愛理は勢いよくヒミツ基地の扉を開けた。
時雨!と満面の笑みの愛理を迎えたのは半分制服を脱ぎ掛けた知らない女生徒。なに見てんのよ!と愛理の顔面に何かを投げつけ女生徒は服を直して走り去ってしまう。痛みに涙をうるませながら、愛理は投げつけられた物を見ると、青い猫のぬいぐるみがついた鍵だった。それは愛理の合鍵と色違いの物。これの持ち主の心当たりはただ一人・・・。

「ここに何しに来た」そう告げたのは昼間に愛理を助けてくれた黒髪の彼。
制服を乱した姿の彼に、どうしてこのカギを、と愛理は問いかける。やっぱり覚えてないんだな、と寂しそうに零した彼は、愛理を無理やりベッドに押し倒す。
愛理に馬乗りになる彼は、青い目をまっすぐ向けてこう言った。「俺は 時雨だ」
目を丸くして驚く愛理の脳裏には「あいりちゃん」と微笑みかける時雨が浮かぶ。昼間まどかに忠告された不良、そして助けてくれた黒髪の彼が、あのかわいかった時雨だったとは・・・。そして、その大切だった時雨が、ふたりの大事な場所に女の子を連れ込んでいる。愛理はその事実に打ちのめされそうになった。時雨は言う。「自分の秘密基地で女とヤってようが勝手だろ」

俺のことを二度と忘れられないようにしてやる

大好きだった思い出の場所には、豹変した幼馴染が・・・。
驚きと悲しみに包まれた愛理の顔を、どこか苦しそうに微笑みながら、時雨が見つめる。「言っただろ?俺が誰だかわかってる?って」そう告げると、愛理の言葉を飲み込むように時雨はキスをした。
思わず逃げる愛理の顔を無理やり引き寄せるように何度も口付け、喘ぐ口元を逃さぬように舌を舐め取る時雨は、まるで足りない何かを補うように息を絡めていた。

やめて、と嫌がる愛理。「俺はお前を見てすぐにわかった」と言う時雨のやわらかな前髪が愛理の額に落ちる。
時雨の青い瞳が、獲物を捕えるようにまっすぐ愛理を見つめて…。「俺のことを 忘れられないようにしてやる」
その時、愛理にはわかった。『時雨と私は 互いに昔の幻影を追い続けている』愛理は心を決めた。そして行為を続けようとする時雨に平手打ちをした。
泣きながら愛理は自分に言い聞かせる。わかってしまったんだ。

『私たちは もうあの時の子供じゃない』
『私の知っている時雨はもういない』

泣き崩れる愛理と冷めた目で見下ろす時雨。
大切な思い出で繋がっていたはずの、二人の絆はこれからどうなってしまうのでしょうか・・・。
上園まこと先生の愛らしい作画と、切ないストーリー展開に感情を揺さぶられずには居られません!ちょっぴりエッチでふしだら注意!切なく胸キュン出来るおすすめ少女漫画です!
小さな秘密基地で生まれた友情と愛情の行方を、是非コミックフェスタでご覧ください!

  • ヒミツ基地、ふしだら注意。【フルカラー】

    • 上園まこと

    • 私の大切な思い出の秘密基地。久しぶりに扉を開けたその先には、豹変した幼馴染が待っていました――。

     
    執筆者
    • 博臣

    • 趣味はひたすらゲームとYouTube。漫画とアニメと映画は恋愛系からエロ、グロ、ホラーまで何でも大好きな30代。
      小説はミステリーばっかり読むのに、書くのは専らプラトニック恋愛極めてるなにか。
      おばあちゃんになる頃には作家にもなってたらうれしい。