復讐ジャッジポイント1
美人の同僚と同じ名前
物語は夜の海、激しく波がぶつかる絶壁の崖から始まります。
「ひどいひどいひどいひどいひどい」「辛い辛い辛い辛い辛い」「悔しい悔しい悔しい悔しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい」と繰り返される言葉の中で、ひとつだけ真っ赤なバックに黒字で「憎い」と印象的に浮かび上がります。
「ああ、あいつら全員殺してやりたい。でもそんなこと出来ないから、もう死ぬしかないの」そう胸の中で呟いて崖の上から女性が身を投げます。
水中に叩きつけられた女性は自分の身体中の骨が砕けた音を聞き、「痛い」「苦しい」と心の中で叫びながら徐々に海の底へと沈んでいきます。
そして、自分がこうなった原因、彼女を追い詰めた人たちの事を思い返していきます。主人公の田島美麗は自分が女性として美しくないのは分かっているので、せめて人の役に立とうと真面目に生きてきました。
黒髪のおかっぱで目が細く地味な顔立ちでぽっちゃりしているので、お世辞にも美女とは言えない容姿ですが、雰囲気は丁寧でとても優しそうです。
そんな彼女が働く会社の同僚に同じ名前の「美玲」という美人がいました。茶髪のウエーブヘアで華やかな美人ですが、すれ違いざまに「こんなデブスと同じ名前なんてサイテー」とつぶやくなど性格はかなり悪いようです。
自分でも名前負けしているとコンプレックスに感じている美麗は、その分仕事を頑張っています。
美玲はそんな美麗を上手く利用して仕事をさぼっていますが、イケメンの明石課長が美麗の仕事ぶりを褒めたことで彼女を邪魔に思います。
偶然同じ名前なだけで毛嫌いされても困りますよね。「美麗」という名前に生まれたのも美しいとは言えない容姿も彼女のせいではありません。
復讐ジャッジポイント2
仕事で大きなプロジェクトの担当に抜擢される
美麗の実力を買っている明石課長は次のプロジェクトに美麗を入れることを提案します。
周りは驚きますが、美麗は今までの頑張りを認められて思わず笑顔に。
真面目に生きて来た成果が出たようで嬉しくなるシーンですが、これをキッカケに美麗は悪意の渦に飲み込まれることになります。
もちろん面白くない美玲は今まで以上に美麗にきつく当たるようになります。
その日も太っていることを理由に美玲から理不尽に罵られて落ち込んでいると、同じ企画の山田さんが、「君はそのままでいいよ」と優しい言葉をかけてくれます。
「今まであんまり話したことない無口な人だけど、思っていたより優しい人なんだ…」と胸が温かくなる美麗。
プロジェクトの企画があるのに自分の業務を嫌がらせのように回してくる美玲に困っている時も、「ふたりでやれば早く終わる」とさり気なく手伝ってくれます。
イケメンではないけれどメガネで優しそうな山田さんに惹かれていく美麗。神様はいるんだ、頑張っていればいいこともある」と、幸せを噛みしめます。
残業を終えて美麗をおいしい定食屋に連れて来てくれた山田さんは、食べながら「一人暮らしで自炊も出来ないからいつも一人メシ。」「たまに一緒にメシ食べよう」と、美麗を誘います。
どういう意図で誘われているのかピンと来ていない美麗ですが「田島さんと一緒にいるとなんか楽で…」と打ち明けられて「ありがとう…」と返事をします。
山田さんいいじゃないですか~!ピンチな時に助けてくれたり、気取った食事じゃなくて定食屋さんっていうのも良いですね。
美麗の顔も喜んでいるように見えます。
明石課長のおかげで大きなプロジェクトに抜擢された美麗ですが、これは彼女自身の実力だと思います。周りが羨むのは完全に筋違いですね。
復讐ジャッジポイント3
職場の男性といい感じになる
プロジェクトは無事成功し、会社のみんなと打ち上げに飲みに来た美麗は、課長にビールを勧められて酔っぱらってしまいます。
ぽーっとなった美麗をすかさず支える山田さん。
「ちょっと休もう」と、強引にホテルに連れ込みます。優しくキスをされ服を脱がされ、「こんなのドラマや漫画だけの展開だと思ってた」と混乱する美麗ですが、「山田さんになら…」と覚悟を決めます。
全裸でベッドに横たわり山田さんを迎え入れようとしたその時、彼が動きを止めます。
「酔っている女性にこんなこと…卑怯だ。本当にすまない」と、山田さんに謝られて、美麗は「私は別によかったのに…」と少し残念に思いながらも「私のこと大切に想ってくれてるから…?」と嬉しく感じます。
独立した大人の女性ならいい感じの男性と一夜を共にすることもありますよね。若干流された感が強いですが、前々から良いと思っていた人だし、別に誰にも責められないと思います。
ここまで来てやめる!?という所での中断でしたが、山田さんが本当に美麗を大事に思っての行動なら納得がいきます。
復讐ジャッジポイント4
裸の写真をバラまかれる
いつもより少しだけお洒落をして会社に通勤した美麗は、周りの奇妙な視線に気が付きます。
不思議に思いながらトイレに行くと、女子社員達が携帯をのぞき込んで盛り上がっていました。なんと、そこに映っていたのは裸の美麗の姿。昨夜のベッドでの姿を撮られていたのです。
画像はメールで回っているようで、「あんたが男に撮らせたんでしょ?自業自得よ」と女子社員達は冷たい態度。
慌てた美麗が山田さんに詰め寄ると、彼は今までとは別人のような意地悪な顔で、「そんな大騒ぎするなよ、みっともない。ちょっとしたドッキリだってウケたでしょ?」と、
本性を現します。「俺も全く反応しなかったし」「ホテルに入ったのは合意でしょ?」と、美麗の事を馬鹿にしきった態度に、怒りと恥ずかしさで彼女の身体はブルブル震えます。
「わたしの…人権は…?」と、必死に絞り出した問いにも、「大丈夫、たいしたことないよ」「見た方が被害者かもよ」と全く言葉が通じません。
「お礼いって欲しいくらいだよ。ちょっと女の気分味わっただろ」と、美麗の事はプロジェクトの気晴らしだったと明かして、最後まで謝りもしませんでした。
精神を病んで会社に居られなくなった美麗は仕事を辞める決断をします。
明石課長だけが今後の事を相談するよう声を掛けてくれますが、課長にも裸の画像を見られたと思うと居たたまれなくなり、走って逃げてしまいます。
その姿を見て満足そうに笑う美玲。山田さんの件についても関係しているのでしょうか?
ついに山田さんの化けの皮が剥がれましたね。美麗を人とも思わない卑劣な行動は絶対に許せるものではありません。
私なら問答無用で山田さんに復讐して欲しいです!もし、美玲が裏で山田さんを操っていたとしたら、それも許せません。
同じ職場の人の態度も目に余るものがありますが、この二人は私の中では有罪判決が出ました。みなさんのジャッジはどうですか?
復讐ジャッジポイントその5
不気味な男からの復讐の誘い
会社を辞めた美麗はそのまま崖から身投げしてしまいます。今までの回想を終えた美麗は「早く死なせて」と苦しみながら意識を失っていきました。
最後まで「会社にも家にも私の居場所はなかった。みんなが私の人生を踏みにじる。わたしを傷つけた奴らが死ねばいいのに。死ね…」と呪詛の言葉を心で唱えながら…。
全身の激痛で目覚めた美麗は、病院のベッドの上に居ました。身体中包帯だらけでひどい状態です。
どうやら美麗は死に損ねたよう。あまりの痛みに何も考えられない美麗に、見知らぬスーツの男が話しかけてきます。
「君を助けてあげるよ。美しく生まれ変わりたくはないかい?最高の女性になって世の中を見返したくないかい?」
激痛の中でも男の言葉は美麗の頭の中にハッキリと入ってきます。「君を自殺に追いやった奴らに復讐してやろう」それは、美麗が海に沈みながらずっと願っていたことでした。
美麗は今までの人生で神様がいないことを知っています。
男の言葉は悪魔の囁き…それが分かっていても美麗は男の言葉を受け入れるのでしょうか?あなたなら美麗と同じ状況に陥った際、どのような決断をしますか?
復讐男の正体や美麗の復讐劇の続きが気になる方はコミックフェスタで続きをご覧ください。
序盤は主人公にとって胸が痛くなるほど辛いシーンが続きますが、その分終盤の復讐劇でスッキリ出来るのでぜひ全編続けて読むことをおすすめしたいです。
実生活では復讐なんてなかなか出来ませんが、漫画の中のキャラクターに自分を投影するとリアルではありえない方法で復讐することができますよ!
納得できない問題を泣く泣く飲み込んだ方、ずっと許せない人がいる方、とにかくスッキリしたい方にはぜひおすすめの作品です。
復讐するに値するかしないか、ジャッジしながら楽しんでくださいね。大橋薫先生の「怨みの煉獄~美しい私にひれ伏しなさい」興味のある方はぜひコミックフェスタで検索してください。