悪夢と男の子
主人公の松波羽衣(まつなみ うい)が昔から度々見てしまう悪夢。
それは幼少の羽衣が悪い子と責められ、いい子でいることを押し付けられる精神的に苦しい夢でした。しかし必ず夢の最後に助けてくれる男の子がいたのです。
その男の子は羽衣を「しっぽ」と呼び…。何度も夢の中で羽衣を助けるヒーローのようでした。
この悪夢を繰り返し見るということは、羽衣に悪夢として強く印象に残させるほどの大きな出来事が過去にあったのでしょうか?
人気カフェ店員・羽衣と謎の青年
羽衣はカフェで働いていますが、愛想の良さから男の人から人気があります。
しかし羽衣は男の人が怖く、店長から人気者だと褒められても複雑な気持ちでした。
開店準備中、羽衣に無理やり距離感を詰めてくる男の常連さんに恐怖を覚えたこともあり、その人にいい印象はありませんでした。
しかしそんな常連に詰め寄られた時、助けてくれた男の人がいました。
その人は黒髪にメガネで、綺麗なまつげに鋭い瞳、飾らないラフな格好で、メガネ男子好きにおすすめの青年です!
助ける時も持っていたカバンを投げて常連に当て、「手が滑った」とさり気ないようで明らかにわざとな助け方が、なんだか男っぽくてカッコ可愛いかったです。
周りの男の人が死んでしまう
カフェで働いている羽衣たちの元に、突如刑事と名乗る男性が訪れました。
この男性をご存知ですか?と聞かれ、出された写真に写るのは、あの時の怖い常連の男でした。続けて刑事はその男が昨夜遺体で発見されたと言い、思わず羽衣は「殺人!?」と声を上げてしまいます。
刑事は羽衣の殺人と断定するような発言に疑問を持ちますが、周りの反応によりその疑問はごまかされました。
思わず出てしまった発言を心配に思う羽衣は、これで何人目だろう?という不安も抱えていました。
”何人目”とはどういうことでしょうか?羽衣は「わたしの周りの男の人がまた」と思考を浮かべています。
羽衣の周りの男の人は災難に巻き込まれてしまうのでしょうか?「殺人」と連想したのは過去にも同じようなことがあったからなのでしょうか?謎が深まるミステリ要素もあり、早く先が読みたくなってしまいますね。
また助けてくれた!
羽衣は仕事帰りに、誰かに肩を叩かれました。そこには、山本と名乗るまた別の常連のお客さんがいました。
山本は羽衣に「彼氏が死んで心配している」と告げますが、羽衣はただのお客様だと否定します。すると山本はそれを聞き嬉しそうに安心し、羽衣が好きなのは自分だろうと言いました。
「最高の笑顔を僕だけに…」「オーダーでお互いが恋に落ちた…」「ひとの恋路を邪魔する奴は『殺してください』と神様にお願いしたんだ…」
そんな背筋がぞくりと凍るような発言を並べ立てられ、羽衣は恐怖で逃げ出しました。しかし追ってくる山本。誰か助けて…!そう願った瞬間…。
「しっぽ!」夢の中の、あの声が聞こえたような気がしました。しかし、それは夢ではなく実際に聞こえた声。振り向くとそこには、あのメガネの青年がいて…。
まさかのキス!?
青年は口づけとともに「彼女は俺のものだ」と言い、山本を辛辣な暴言で撃退します。
しかしドキッとしたのは束の間で、その口づけはキスの『ふり』でした。羽衣は礼を言うと、「キスのふりでも充分アウトだろ」と言われ男を信用しないよう注意されます。
足がすくんだ羽衣は青年に送られ、自宅のアパートへ向かいました。
キスの『ふり』をしてくれて、その上自分含め男を信用するなと注意してくれるあたり、誠実で優しい男性だということが伝わります。
また助けてくれたこの青年は誰なのでしょうか?
「しっぽ」という響きが暖かく懐かしく感じられるであろう羽衣は、きっとこの青年には他の男の人とは違って、何か特別なものを感じているに違いないですね。
火事と悪夢と、光
アパートへ着くと、そこには凄惨な光景が広がっていました。
火がアパートを包み、メラメラと燃えたてていたのです。青年はさっきの常連が怪しいと思い探そうとしますが、羽衣は震えながら行かないでと引き止めます。羽衣の中で悪夢のような思い出が胸を焼き、脈打つ心臓に「おまえのせいだ」「おまえのせいだ」と言葉が突き刺さります。
しかしまたあの男の子の声で、「君は悪くない」と…。
男の子は幼少の羽衣を、大丈夫だよ、と抱きしめていました。
一体羽衣の過去には何があったのでしょうか。とても、とても大きなものを抱えているようですね。それを抱きしめて包容できる男の子は、何者なのでしょう。
男の子の「守りたい」という一心からは、闇に差す光のような、火に注がれる水のような、純粋で透き通った心を感じます。
目覚めるとそこには…
男の子に抱きしめられながら、いつもの悪夢から目を覚ました羽衣。
目覚めるとそこには、ベッドの中で自分を抱きしめながら眠る青年が…!うそ!?と脳内で叫びながら顔を真っ赤にする羽衣。
さて、青年が目覚めたらどうなってしまうのでしょう…!?
青年はクールな見た目やぶっきらぼうな振る舞いに反して心に暖かいものが感じられますね。
主人公の羽衣も優しさが感じられるような暖かさを身にまとった女の子です。そんな2人の暖かさが、この作品をピュアで優しいものにしている気がします。
そんな応援したくなる2人ですが、波乱も隠れ見える作品でもあり…。『愛したら、破滅』というタイトル通りになってしまうとしたら悲しいですね。
それとも、そのタイトルを打ち破ってくれる展開があるのでしょうか?これからのストーリーがどうなっていくのか気になりますね。
いかがでしたか?続きが気になる方は、広枝出海先生の『愛したら、破滅。』をコミックフェスタでご覧ください!