『ロリコン男の殺し方』この行いは「悪」?コミックフェスタおすすめ青年漫画

みなさんこんにちは、ライターの末野です!
今回おすすめする漫画は葵抄先生の青年漫画『ロリコン男の殺し方』です。

同級生からのイジメ

主人公の小峰瑠衣は小学校の同級生からイジメを受けていました。そのイジメを牽引するのが、小さな頃に仲が良かった海斗という少年です。
瑠衣は、仲が良かった小さな頃と比べ、なぜ今はこんなに酷いことをするのか疑問を持ちます。海斗は一体何がきっかけで瑠衣をイジメるようになったのでしょうか。瑠衣も疑問を持つということは、そのきっかけは知らないということですね。
もしかしたら、海斗の心の内にしかない秘めたきっかけなのかもしれません。2人の関係に亀裂が入ったきっかけ、気になりますね。

クラス全員も先生も頼りにできない

「イジメは無い」とクラス全員が口を揃えたと瑠衣に告げる新任の先生。
瑠衣は先生の見えないところでイジメられてることを訴えますが、それに対して「先生は信じてる」と言われ、先生にはどうにもできなかったことを説明されるだけでした。
イジメがあってもどうしようもできない状態で、瑠衣はどこに逃げればいいのでしょうか。
家庭が安心できる場所ならまだいいのですが、どうやらそうではないようです。家へ帰ればまた別の苦痛が瑠衣を迎えるのでした。

義父はロリコン男

瑠衣が学校から帰ってきて玄関の扉を開けると、聞こえてくる母の嬌声。
瑠衣が玄関に入り「ただいま」と言うと、遅れて「おかえり」と出てきた母。遅れた言い訳をしますが、母の首元にはキスマークがついてました。
母は仕事のため出掛けると言い、行かないでと心の内で懇願する瑠衣を置いて行きました。そしてお酒臭い義父が背後から肩を掴み、一緒にご飯を食べようと誘います。
瑠衣は拒否しますが、大人の力には敵わずいいようにされてしまい、しまいには一緒にお風呂に入ることになり…。夜、布団の中で瑠衣は自分の首元についたキスマークを引っかきながら現状を憂いました。
母にもついていたキスマーク、それが瑠衣にもつけられたということは、義父に無理矢理いたずらされてしまったのでしょうか。義父は瑠衣を性の対象として見ている、変態のロリコン男だったんですね。

完遂自殺マニュアル

瑠衣は、もしもこの世に悪魔がいたら、魂を引き換えにしてでも叶えたい願いを持っていました。その願いとは、とあるサイト「完遂自殺マニュアル」を見ながら瑠衣の中で思い浮かべられたのです。
そしてその願いは義父に思うようにされた夜中、瑠衣の内でふくらみ弾けそうになり、とうとうカッターの刃を出しました。それは義父の首元に突き立てられ…。
最初は自殺も考えたかもしれない瑠衣は、義父を殺害しようとしたのです。そこまで追い詰められてしまった瑠衣の心境を思うと、とても胸が痛みますね。
しかし義父は眠っていてもあの恐ろしいロリコン男と変わらず、瑠衣は恐怖でカッターを落としてしまいます。
一度殺害を諦めた瑠衣は、またあの「完遂自殺マニュアル」を開きました。

自殺に見せかけて

瑠衣は「完遂自殺マニュアル」の「自殺」に意識を向けました。
そして、自殺に見せかけて殺す方法を思いついたのです。しかし、子どもの自分には自殺に見せかけるための知識が足りない。瑠衣はそう考え、そのような知識のある大人がどこかにいるかを思案しました。まだ小学生の瑠衣は、必死に救いの道を考えてここまで行き着いてしまいました。
大人に養われる子どもは簡単に逃げることができません。逃げるために、究極的で悲劇的な行動に出てしまうこともあるのでしょう。瑠衣の救いの道はこの道しかないのでしょうか?義父には天罰が下ってほしいですが、瑠衣が悲劇の道へ進むことは避けてほしいですね。
瑠衣自身がこれでよかったと思えるような結末が待っていてほしいものです。

理科の先生

新任の先生は理科を担当していました。その先生に理科の補習を受けたいと告げる瑠衣。
そして「混ぜたらキケン」の家庭用洗剤が、一定量混ざりガスが発生したら本当に人は死ぬのかどうかを聞きました。
それに「簡単に死ぬ」ということを答えた先生は、理科という教科にそって詳しい情報を教えます。ようやく、先生が力になれる時が来たようですね。
ですが、このような形で力になったことは果たして、先生にとってそして瑠衣にとってもいいことなのでしょうか。
れっきとした「化学兵器」となるこのやり方について先生はこうも言っています。この「力」の「知識」は使う者の意志により「毒」にも「悪」にもなると。

「悪」

瑠衣のこの行いは「悪」なのでしょうか。外でも家でも助けてもらえず八方塞がりでひとり苦しむ小学生の女の子が、救いを求めてひとつの方法に希望を見出したのです。
この方法でようやく救われるかもしれないという小さくか弱い女の子の願いを、「悪」と決めつけることは難しいです。先生は瑠衣が知識の力を「世のために使ってくれると私は信じています」と言ってくれました。
そして、肩に優しく触れられる手に、男の人に触られるのが苦手だった瑠衣は、頰を赤くします。
笑った顔が本当の父に似ている先生、そんな先生に触れられたからでしょうか。そして先生から本格的に理科の知識を教わることになり決心する瑠衣。
そう、イジメっ子の海斗とロリコンの義父を思い浮かべながら…。

瑠衣と先生がこれからどうなっていくのか気になりますよね!葵抄先生の『ロリコン男の殺し方』はコミックフェスタで配信中です!
それぞれの行く末を是非見届けましょう。

  • ロリコン男の殺し方【フルカラー】

    • 葵抄

    • 陰湿なイジメ、義父の舐めつけるような視線…誰も助けてくれないことを悟った少女は、静かな殺意を目に湛え…刃を取る…!

     
    執筆者
    • 末野

    • ジャンル問わずで漫画好き、部屋の隅で漫画を読む女です。文系男子から体育会系男子まで、そして可愛い女子から綺麗な女子までをも好きになります。みなさんが素敵な漫画を読めるきっかけになれば幸いです。