『アマテラス~AIは独裁者の夢を見るか?~』あらすじとAIの生活への浸食度をご紹介

2019/2/7 更新

今回ご紹介する青年漫画はコミックフェスタでも人気の佐々川いこ先生の『アマテラス~AIは独裁者の夢を見るか?~』です。
『アマテラス~AIは独裁者の夢を見るか?~』はAI(人工知能)で統制させた社会へと変化した日本で、謎の自立型人工知能『ツクヨミ』と出会った神代真夜を主人公に人間とAIの共存という壮大なテーマを描いたSFサスペンス。
現在の日本にも様々な分野にAIが進出していますが、物語の舞台ではAIはさらに生活に根付いたものになっており進路診断にまで関わって来ています。私達の未来もこうならないとは言い切れないほどリアルで読んでいて不安な気持ちになります。
ここではあらすじと共にAIがどのように人間の生活に侵食しているのかを浸食度で説明していきたいと思います。
AIは擬人化されておりPCに詳しくない方にも分かり易く説明されているので、今までそのような物語を避けていた方にもおすすめしたいストーリーです。

AIの生活への浸食度1 女神のようなアマテラスと悪魔のようなツクヨミ

国産量子コンピューター『イザナギ』が開発されてから2年、日本ではAIによって統制された完全なる社会を目指す政党が出現するほど社会に人工知能が溶け込んでいました。
そんな中、都市伝説通の高校生の神代真夜はネット上で人と会話が出来るほど高度なAIと出会い、その存在を密かに危険視しています。
真夜の世界で誰もが知るアシストAI『アマテラス』の容姿は神話に登場する女神のように崇高ですが、真夜が出会ったツクヨミの容姿はまるで悪魔のようでアマテラスとは正反対。
砕けた口調で話し、女子高生のスカートの中を盗撮したサラリーマンを逮捕させるなど暇つぶしにイタズラを楽しむ奔放なツクヨミ。なぜ自分のスマホに居つくようになったのか本当の目的は分かりませんが、好き勝手をするツクヨミを今一つ信用できずにいました。

そんな時、学校でノートパソコンを使っていた真夜に不良生徒の須藤が絡んできました。
ノートパソコンを母親に買ってもらったものだろうと決めつける須藤にカチンときた真夜は、つい言い返してしまい殴られますが、同級生の美少女、水無月美奈の機転で須藤は退散します。
女子に助けられたことを「情けねぇな」とツクヨミにバカにされながら、「そういえば学校教育にもAIを組み込んでいくっていう新体制の話があるらしいけど…」と話す真夜。
ツクヨミが言うには「この高校も試験運用のモデル校になってる」そう。
「内容は直接体験してみるこったな」と楽しそうなツクヨミですが、学校教育にどのようにAIが組み込まれるのでしょうか?
ここまでAIに頼りきりだと少し不安ですね。

AIの生活への浸食度2 最新AIアマテラスの『適性診断アプリ』による進路指導

一方で美奈は友人から、須藤が美奈を恨んでいるっぽいと言われ、過去に言い寄られて無視した事を思い出します。
友達とその時の話で盛り上がっている美奈の前を真夜が通った為、「保健室行った方が良くない?」と美奈が声を掛けますが「助けてくれなんて頼んでない」とそっけない態度を取られてしまいます。
周りの友達は真夜の態度に腹を立てていますが、美奈は何か考えているようです。
大人しくて目立たない真夜を危険を犯してまで助けた美奈の真意が気になりますね。

さて、クラスルームでは授業が始まる直前に真夜の友人・透が慌てて駆け込んで来ました。
透は陸上の練習に夢中になっていたようです。
「俺バカだから陸上しかねぇからよ」と話す透は夢に向かって努力し、輝いているようにみえます。
授業は進路指導。
教師の中西が「進路を決めるにあたって大事なことは自分自身の適性を知ること」と熱く語ります。
今年から全国に先駆けて導入した新制度、最新のAIアマテラスによる適性診断アプリによって確定した結果を進路表で提出してもらうと嬉しそうに発表する中西。
自分の将来の職種までAIに決められるというのはゾッとしてしまいます。
ただ、自分の適性は自分では気付きにくいので、そのような診断アプリが出てくること自体は不思議ではないですね。

AIの生活への浸食度3 アマテラスが人間の未来を予測演算する!?

アマテラスによる適性診断アプリの話に教室はざわめきますが「楽でいいかも」と楽観的な生徒も多そうです。
確かに進路の決断はとても難しいので、アプリが簡単に決めてくれるなら楽かもしれません…。
最初は出席番号1番の阿部がアマテラスによる診断を受けることになりますが、アマテラスが音声によって直接質問してくるので驚きます。
画面に映るアマテラスの姿は、だらしなく横たわっており口調こそ優し気ですがいつもと感じが違います。
「犬派?猫派?」「宇宙人は信じる?」など簡単な質問をいくつかしたアマテラスは、すぐに阿部の適正職業を導き出し、その結果は思わず阿部自身も「やった!イメージどおり!」と叫ぶほど正確です。
「次は自分を診断して欲しい!」と沸き立つクラスの男子たちですが、真夜がこっそりツクヨミに尋ねると「あのくだらねぇ質問に意味は無い。答えは最初から出てる」という驚きの答えが返ってきます。ツクヨミが言うには国から端末が支給され、AIの恩恵を受けてない人はいない、つまり人間はサービスの代償に国にすべての情報を握られているという事だそう。
様々なデータからアマテラスが人間の未来を予測演算する…それは占いアプリなんてものとはわけが違う代物でした。
つまり国家にとって有益な人間はもちろん犯罪者や国に不利益になりそうな人間も予め把握できる仕組みだそう。
「未来予測で人間を選別するって言うのか?確かに合理的なように思える…。そんなことが許されるのか?●●●●は一体何を考えて…るん…」と適性アプリに強い拒否感を示す真夜は思わず自分の口から飛び出した言葉に動揺します。
そんな時、透は自分の判定に納得が出来ずに中西に食って掛かっていました。
透がなりたいのはインストラクターではなく競技選手。
「残念だがこればっかりは仕方ない。アスリートになれるのなんて一握りだぞ」と中西に慰められますが、自分の努力をAIに否定された透は素直に受け取ることが出来ません。
「透!まだ先が決まったわけじゃない!この診断は適性を見るってだけだろ?」と思わず透を励ます真夜。
人の将来に100%なんてありえないはずだっ!
真夜の言葉を受けて、透は自分の適性なら自分で変えるしかない!とやる気を取り戻します。

AIの生活への浸食度4 美奈が思わず顔を歪めるほどの未来!?

そんな真夜の適性結果は『公務員』。
思ったより普通の診断に疑問を感じた真夜がツクヨミに尋ねると、やはりツクヨミによって当たり障りのないものに変えられていました。
結果を知りたがる真夜に、「アタシと関わっている以上まともな結果なんて期待するなよ」と凄むツクヨミ。
ツクヨミの口から真実が語られる証拠がないと判断した真夜は結果を聞くのを諦めます。
真夜の本当の診断結果が気になりますね。
ツクヨミが言うようにまともな結果ではないようですが…。それにしても瞬時に結果を書き換えるツクヨミのスキルは恐ろしいです。

さて、いよいよ最後の生徒は先ほど真夜を助けた水無月美奈。
学年成績トップ、放送部部長で生徒会長もこなすスクールカーストの頂点の美奈は本人のスペックだけでなく父親は現職の有力政治家、母親は元アナウンサーというまさに名家で生まれ育った正真正銘のサラブレッド。
そんな美奈の診断に周りは興味津々で「アナウンサーじゃない?」「モデルもイケる」「政治家も有りだろ」と集まって好き勝手言い始めます。
今までの人よりも美奈への質問が多いのが気になる真夜ですが、やっと適正職業が出ます。
その結果を見た美奈は「は?何よ…コレ…!」と思わず顔を歪めます。
どのような結果が出たらここまで絶望的な顔が出来るのでしょうか?
他の生徒たちの結果が順当だっただけに気になりますよね?
続きが気になる方はぜひコミックフェスタにてご覧ください。

AIにより統制された社会、それは人間による社会よりも豊かで平和なものかもしれません。
しかし、人工知能と人間による考え方にはやはり違いがあり、それによって少しずつ軋みが出てくるようです。
アマテラスによる適性診断アプリで早速軋みが現れたようですね。
真夜は美奈の結果を知ってどのような行動を起こすのでしょうか?
また、真夜のスマホに居つくようになったツクヨミの目的や真夜がツクヨミから話を聞いた時に思わずつぶやいた謎の●●●●という言葉も引っ掛かります。
この先を読まないとモヤモヤして眠れませんね!(笑)
佐々川いこ先生の漫画はコミックフェスタに他にも掲載されているのでぜひそちらも検索してくださいね!

紹介作品

アマテラス~AIは独裁者の夢を見るか?~【フルカラー】
佐々川いこ
人は迷い、悩み、過ちを犯す…ならば全て、神に委ねてしまえばいい…人工知能という電子の神に…

執筆者

花子
漫画ならどんなジャンルでも大好きな30代。王道恋愛モノから少年漫画まで何でも読みます☆
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