リアルな設定1 主人公は自他ともに認める「中の下」女子!
主人公の木下桃子は自分でも自覚しているパッとしないブス。
唯一の長所と言えば男好きする豊満な肉体くらい…。
桃子には彼氏の賢人がいますが、同棲して長いのにいまいち自分に自信を持てずにいます。
ぽっちゃりしてきたお腹を「そのままでも良いよ」と言ってくれる優しい賢人ですが桃子はもっとちゃんとした言葉が欲しいのです。
自分のことを本当に見ていてくれているか不安が付きまといますが、賢人のことが好きな桃子はいつもなあなあにしてしまいます。
会社での桃子は華やかな女子社員がしたミスの尻ぬぐいばかり。
「ブスのクセして」と思われないように頑張っているだけなのに、ただ可愛いだけの女子社員より雑に扱われることに不満が溜まっています。
学生でもないのに昼休みのランチは女子社員一同で同席しなければいけない『仲良しごっこ』にも苦痛を感じていますが、言い出せずにいます。
家でも会社でも我慢の連続で相当ストレスが溜まっていそうですね。
もっと自分に自信を持って周りに自分の意見をハッキリ言えるようになるといいのですが、桃子がこのような性格になったのには何か原因があるのでしょうか?
主人公は外見にコンプレックスを抱えていて、彼氏に不満があるけれど言えないというのはリアルでもよくある話なので共感しやすいと思います。
リアルな設定2 過去に男性から受けた心の傷!
昼休みのランチで、天真爛漫に振る舞う美人女子社員を見て「それだけ可愛かったら今まで傷つけられることなんかなかったでしょ」と過去の心の傷を思い出す桃子。
それは学生の頃良い感じだった男性が友人に「あいつ顔はブスだけど体はまあまあ良くてちょうどいいんだよ」と話しているのをこっそり聞いてしまった悲しい思い出でした。
体の関係を拒んだ桃子のことを「ブスのクセしていっちょ前に拒否ってんじゃねーよ!」と蔑んでいた姿が忘れられず、桃子は周りに自分の意見を言えなくなってしまったようです。
絶世の美女ではない限り、外見へのコンプレックスは誰にでもあると思います。
よほど環境に恵まれない限り、桃子ほどではないにしろ読者のみなさんも現在の性格に影響を与えたような傷のひとつやふたつは持っているのではないでしょうか?
それにしても「ブスのクセして」ってひどい言葉ですね。
確かに人の外見には美醜がありますが、必ずしも美しいから優れているとは言えないはずです。
学生の頃の心の傷が桃子を現在の性格に変えてしまったのですね。
「体はまあまあ良くて」という部分を桃子が肯定的に受け取って現在も恋愛で活かしているのが切ないです。
リアル設定3 自分より下だと思っていた同僚女子の突然の結婚宣言!
ランチの途中に桃子が密かに自分より下に見ていた同僚女子が突然の結婚を発表します。
誰にも言っていませんが自分より下だと思っていた存在に追い抜かれ激しいショックを受ける桃子。
学校だけでなく社会に出てからもお互いを比較してマウンティングし合うのは女子ならでは…。
桃子が地味な見た目の同僚女子を自分と同じブス(仲間)と位置付け、密かに胸の大きさで見下している辺りがとてもリアルです。
このようにマウンティングをするのは、自信の無さや自己肯定感の低さから来る行動だと思います。
ちゃんとわきまえて生きているのに、仕事を押し付けられたり結婚で先を越されたり…帰りの電車の中で桃子は思わず泣いてしまいます。
ストレスが重なってかなり自分を追い詰めてしまっているようですね。
家に帰っても明らかに目が赤い桃子に気付かず慰めてくれない彼にイライラ…。
しかし、やはり不満を言い出す事は出来ません。
お風呂の中で自分と彼氏の間で一度も結婚の話が出ていない事に気付く桃子。
見た目も性格もあまり良くない自分と何が良くて付き合っているのだろうと疑問に思います。
過去の心の傷を思い出し、「賢人も体目当てだったり…」と不安になってしまいます。
きっと桃子には自分では気付いていない『いいところ』がたくさんあるのだと思います。
過去のトラウマに囚われてすっかり考え方がマイナス思考になってしまってますね。
こんな時、彼氏の賢人が優しく慰めて自信を回復させてくれればと思うのですが…。
リアルな設定4 意を決して彼からのお誘いをお断りする!
お風呂上がりの桃子の髪に優しくキスをする賢人。
やっぱり夜のお誘いかと、いよいよ不安がピークに達した桃子は意を決し、仕事で疲れていることを理由に「エッチできない……かも…」と断ります。
「ブスのクセしていっちょ前に拒否ってんじゃねーよ!」という言葉が蘇り怯えますが、賢人は「暖かくして早めに寝よう」と優しく受け止めてくれました。
賢人に優しく腕枕され、「超~愛されてるっぽくない……!?」と涙が出るほど安心する桃子。
「断っても良かったんだ、きっと私にも体以外にどこかいいところがあるんだ…」と心の中で自分を肯定します。
賢人は細かい気遣いなどは足りないかもしれませんが、桃子の事をちゃんと思いやってくれる良い彼氏ですね。
誰かに愛されている実感を得た桃子は、仕事を押し付けられてもランチの自慢話をされてもへっちゃらで元気いっぱいです。
しかも家に帰ると賢人が夕食を作ってくれていました。
いきなり何もかもがあまりにも上手くいき始めて戸惑う桃子。
しかし、「ひと晩ぐらいならガマンできて当然…なのかな…本当に愛してたら何度断っても優しくしてくれるはずだよね…」と、この日も賢人からのお誘いを断り、試すような行動をしてしまいます。
実は今まで言えずに合わせていたので賢人にはエッチ好きだと思われているようですが、桃子はエッチがあまり好きではありませんでした。
この辺りの男女のすれ違いもリアルな部分ですよね。
ぐっすり眠れるし愛されてる実感も得られる…桃子は『エッチを断っても受けて入れてもらえる』事で承認欲求を満たすようになっていきます。
だんだん断るのも慣れてきて自分に自信が付き始めた桃子ですが、賢人が別々に寝るためのベッドの購入を検討している事を知り愕然とします。
気付けば1カ月近くエッチを断り続けていた桃子。
このままエッチしないとダメな気がする!と今更ながらに気付き、初めて自分から賢人を誘います。
しかし、賢人には「大丈夫、疲れてるのに無理しないで」と気遣われてやんわり断られてしまい、「この先もずっとこのままだったら少しずつ離れていっちゃいそう…」と二人の仲に危機感を感じます。
賢人の気遣いは桃子への優しさからくるものなのでしょうか?
それとも身体と共に心も離れてしまったのでしょうか?
リアルな設定5 優しい彼氏に浮気の影が…!?
賢人との仲を案じた桃子は、賢人を誘うため携帯でAVを観て必死に予習します。
こういう桃子の少しズレたところ、可愛いですね(笑)
本人は至ってまじめに研究しているところが憎めません。
そんな時、賢人が置き忘れた携帯が鳴り、思わずのぞき込むと浮気の証拠のようなメッセージが…。
真っ青になる桃子ですが、本当に賢人は浮気をしているのでしょうか?
「また朝まで一緒にいたいな…」というのはどう考えても一度関係を持ってしまったとしか思えません。
自分に自信がなくエッチを断ることで自尊心を満たしていた桃子は、このまま賢人を失ってしまうのでしょうか?桃子と賢人の今後の展開が気になりますね!
賢人が桃子を傷付けた男性と同じとは思えませんが、やはり男性は女性より体の関係を重要視するのでしょうか?
この辺りは私も詳しく知りたいところです(笑)
『ヤレないブスでも好きだと言って。』は自分に自信の無い、ちょうどいいブスになってしまった主人公が彼氏とのエッチを避けることで愛情を試し、自らセックスレスを招いてしまいました。
主人公が自分の容姿にコンプレックスを持っていたり、大好きだけど彼氏に物足りなさを感じていたり、誰もが共感できるリアルな設定が見どころ。
女性心の機微が繊細に描かれているので女性だけでなくぜひ男性にも読んでもらいたい作品です。
現在未婚・既婚に関わらずセックスレスのカップルの数が急増しているそうです。
そのどれもが相手にエッチの誘いを断られるなど些細なことが原因なのだとか。
恋人同士にとってエッチはどれ位重要なものなのでしょうか?
本尾みゆき先生の『ヤレないブスでも好きだと言って。』はコミックフェスタで配信中です。続きが楽しみですね!
桃子と賢人のカップルをご自身に当てはめて一度、相手のエッチへの考え方を見直してみてはいかがでしょう?