巧みなセールスの罠1 ターゲットはどこにでも居る平凡な主婦
主人公の土屋朱里は30歳の主婦。夫の慎二と娘の日菜と暮らしています。
3週間前に慎二の仕事で引っ越ししてきたばかり。大切な家族と幸せな暮らしを送っていますが、日菜を授かって以来2人目になかなか恵まれないことを密かに悩んでいます。
そんな朱里ですが、地域清掃に家族3人で参加した際に日菜と同じ幼稚園に通う娘がいる西条麻貴という可愛らしい女性と知り合い、連絡先を交換します。
近所の人達はみんな優しそうで朱里達にも親切にしてくれるので内心ホッとする朱里。主婦としてご近所トラブルは何としても避けたいので朱里がホッとする気持ちは良く分かります。
麻貴はウェーブのかかったボブカットヘアで品の良いワンピースを身に纏った笑顔の優しい女性。朱里は麻貴に好感を持ち、ママ友となりました。
しばらくすると麻貴から朱里にお茶会のお誘いのメールが届きます。なんでもお茶会は麻貴の知人の育児アドバイザーの主催で託児もあるとのこと。いきなり断るのも気が引けるので参加することにした朱里。気心知れた友人からの誘いなら断る事も簡単ですが、まだ知り合ったばかりのママ友からの誘いなら朱里の反応は普通ではないでしょうか。
巧みなセールスの罠2 お茶会で大評判の怪しい水
お茶会に参加した朱里。子供を預けてお店でお茶をするのは久しぶりです。
お茶会に現れた育児アドバイザーの幸野は柔和な雰囲気の男性で、周りからの相談に優しく対応しています。子供の癇癪に悩む母親からの話を聞いた幸野は、ミネラルなど充分摂れていない栄養不足が原因しているとし、「トリリオンウォーター」という水を勧めます。そして、トリリオンウォーターは身体に必要なミネラルを配合するために日本各地の源泉水をブレンドしたもので毎日飲むと栄養不足を補い健康や美容に良い効果があると言います。突然のセールス話に鼻白む朱里ですが、周りの主婦の評判はすこぶる良く、子供のアトピーやお通じだけではなく不妊にも効果があるという話を聞いて朱里は気持ちがぐらつきます。
帰りに麻貴からさきほどの水をおすそ分けされ、「水くらいで何か変わるとも思えないけどせっかくいただいたんだしー…」と飲むことにしました。
次の日から水を飲み始めた朱里はなんだかスッキリ起きられるようになり、周りからも「最近元気ね」「お肌も綺麗でうらやましいわ」と言われるようになります。「何か特別なケアしてるの?」と聞かれ思わず麻貴からもらった水の事を思い浮かべます。
その後、自宅に帰った朱里の元に義母から電話がかかってきます。「日菜ちゃんにも早く弟か妹ができたらいいのにね~♪」という義母の無神経な言葉に落ち込んでしまいました。。夫の身内から言われると余計にこたえると思います。義母に悪気はないのでしょうが、2人目不妊に悩む方は1人目が無事生まれたんだから不妊なわけがないという前提で話されるのがしんどいそうです。
義母との電話後、麻貴からお茶会のお誘いメールが来ます。このタイミングでの誘いは誰でも多少ぐらつくのではないでしょうか?
巧みなセールスの罠3 朱里の悩みをあたたかく受け止めてくれるお茶会メンバー
麻貴に促されて自分の悩みを告白することになった朱里は思い切って2人目をなかなか授かれない話や姑の話をみんなに吐き出します。
「健康であればきっと良い時期に授かれますよ。周りのことはプレッシャーに感じずに」と優しく受け止めてくれる幸野とお茶会メンバー。悩みを人に打ち明けられただけでも少しラクになった気分の朱里ですが、周りのメンバーの勧めもあり、流れでついにトリリオンウォーターを購入することになりました。値段が高いけれど健康のための投資と思えば1回くらい…と割り切る朱里ですが…。
悩みを共有し共感してくれた相手に勧められたものを無下に断るのは難しいですよね。しかし、セールスの場合はこの段階でハッキリ断る事が重要なようです。
巧みなセールスの罠4 繋がっていた育児アドバイザー幸野と麻貴
その後、カレンダーを見ていた朱里は生理がしばらく来ていないことに気付きます。妊娠簡易検査キットでの判定は陽性でした。
そして、別の場所では育児アドバイザーの幸野が以前のお茶会で子供の癇癪を相談していた主婦が会員になったことを報告し、麻貴に紹介料を渡していました。「この調子でどんどん仲間を増やしてくださいね」と相変わらず人のよさそうな顔でほほ笑む幸野。麻貴はというと普段の優しげな表情が消え、感情をうかがい知ることができません。
3話ラストページは冷ややかにほほ笑む麻貴と、涙目で妊娠を喜ぶ朱里の笑顔が大きく描かれています。意味深な演出ですね。今後朱里はどのようにセールスの罠に巻き込まれていくのでしょうか?ぜひコミックフェスタで続きをご覧になってください。
ママ友という独特な関係性の中に潜むセールスの落とし穴。
和やかな昼間のお茶会の集まりに一歩足を踏み入れるとこんなにドロドロした世界が待っているなんて誰が想像できるでしょうか?
自分こそは絶対に大丈夫!という方こそぜひ、この漫画を参考にして警戒を強めてください。
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