凪のトラウマ
向鹿 凪(むこうじか なぎ)は中学時代は陸上競技でエースでした。
トラックを走ればいつも自分の前には誰もいない。
そんな世界を守ってきたはずなのに、突然目の前に現れて一位を攫っていったのは 鷲崎 静(すざき しずか)でした。
競技終了後に声をかけたときの静の言葉と何も映していない冷えた目は凪の心を大きく抉り、トラウマを残すのです。
そのトラウマから転落人生となった凪ですが、全国大会での打倒「鷲崎静」を胸に高校へ進学しました。
入学式を終え、教室で席についた凪を後ろの席から突然フルネームで呼んだのは、静でした。
強豪校に行っただろうと思い、全国大会での再会を待ち望んでいたのに、何故か同じ教室の真後ろの席に・・・。
強豪校に行かなかった理由を静に問いただそうと凪が騒いでるところに、陸上部の勧誘がやってきました。
静は「陸上はやめたので・・・」と入部を断ります。
ずっと追いかけてきたライバルが陸上をやめていたなんて切ないです。
静の存在が凪の心を支えていて、奮い立たせていたのでしょうね。
青春真っ只中、二人の関係はどうなっていくのでしょうか?
静を追う凪
教室から出ていく静を、冗談で陸上をやめたと言ったのではないかと慌てて追いかける凪に「本当にやめた」と静は立ち去ろうとしました。
凪が静の腕を掴み、振り向かせると静は一瞬悲しげな表情を浮かべます。
「・・・怪我でもしたのか・・・?」そう問う凪に、すぐに静は表情を険しくし、拒絶します。
凪は理由を教えてもらえず、去り際にはまた冷えた目で「他人のことに首を突っ込んでくるヤツ、死ぬほど大嫌いだから」と、はねつけられてしまいました。
帰宅後、凪はトラウマとなった陸上競技大会が特集された雑誌を引っ張り出します。
インタビュー記事には静が載っていて、「ライバルはいません」と誰も見てない感じに苛立ちを隠せない凪ですが、腕を掴んで振り向かせたときの静の悲しげな顔が脳裏を掠めました。
静は多くを語らず、ミステリアスな雰囲気ですね。
どんな理由で陸上をやめたのでしょうか?
静の目に映りたい
凪は静に「理由聞くまで勧誘を諦めない」と告げました。
しつこいと言う静に、二人で話をしようと、「放課後にずっと教室で待っている」と無理やり伝えました。
自分から全てを奪った静が勝手に消えることを、凪は納得できないのです。
中学時代の凪は、静に負けてからタイムを伸ばせず、上位入賞も難しいほどのスランプに陥っており、部内でも居場所がなくなってしまっていました。
だから凪は、ずっと静と再戦するために頑張ってきたのです。
でも、「見返したい」じゃなく本当の理由があることを凪は知っていました。
放課後、教室で待つ凪でしたが、静がやってこないため、あきらめかけたところに、「ゴメン」と声がかかりました。
はあはあと息を乱した静は、走って駆けつけてきたことを示していました。
その静の姿に凪の心は弾けました。
静を引き寄せて唇を奪い、何度も繰り返しキスをして壁に追い詰めます。
驚き、見開く静の瞳をのぞき込むように、凪は静の目に自分の姿を映しました。
凪の本当の気持ち
日を改め、凪は静に勝負を申し込みます。
「怪我じゃなきゃ走れるだろ」と凪は迫りますが、断られてしまいます。
「『理由』言ったらやめたげる・・・」そう言うと凪は静の体をまさぐり始めました。
理由を言わない静にキスをして、静の眼に自分が映る感覚に凪は昂りを覚えます。
静の体に触れて、筋肉がついたままだと確認すると、静が走るのをやめたわけじゃないことを凪は確信します。
「ちゃんと諦めさせてほしい」そんな思いと、「静の目に映りたい」という願望が凪の中を支配し合っているようです。
ぐちゅぐちゅと音を立てて、静の性器を責め立てる間も、凪の頭の中にはどちらの思いも揺れ動いています。
凪はあの大会で負けたあの瞬間から、静にすべてを魅了されていたのでしょう。
熱に浮かされた目で、静に「・・・ごめん 止まんない・・・」と告げるのでした。
いかがでしたでしょうか?
凪が静を強く求め続ける姿は、読んでいてとても切なかったです。
この先、二人の関係はどう変化していくのでしょうか・・・。
木野芽ササ先生の描く、アオハル・ボーイズ・ラブ、「青春、静に捧げます。」は、コミックフェスタでぜひチェックしてくださいね!