結婚記念日、張り切って作った手料理に夫は冷めた反応

2回目の結婚記念日。不安そうな表情で主人公の綾は、料理を口に運ぶ夫の修一に気遣いながら声をかけます。

結婚記念日ということで、手料理を頑張って作った綾ですが、修一の話す内容は仕事のことばかり。修一は、勤めている銀行で支店長代理に昇進し、厳しい表情で経営についての話をしています。

しばらく経ってようやく修一は「結婚して2年になるか」と言いますが、覚えていてくれたことを綾が喜んだのは束の間でした。｢俺は順調に昇進しているが、キミはいつまでたっても料理が上手くならないんだな｣と修一は綾を暗に貶すのです。

それでも綾は修一の言葉に怒りや不満を感じるでもなく、ただ自分の料理下手を反省して落ち込んでいるのでした。

結婚のいきさつ

綾は自分に自信のある性格ではありません。修一との結婚を決めたのも、女子大を卒業したのに就職できなかった綾に親が持ってきた見合い話がきっかけです。

一流大学を卒業し、銀行員としてエリート街道を進む修一とは釣り合わないのでは…と遠慮した綾ですが、母親に、エリートを捕まえることこそが取り柄のない綾が生きていくために必要だと説得されます。力強く話す母親に綾は「そう……なのかな」と思いました。

そして修一と何回か会ったのちプロポーズをされます。クールでテキパキとした修一に「頼りない私を守ってくれる」、「私の人生を引っ張っていってくれる」と心動かされ、綾はプロポーズを受け入れたのでした。

心安らぐ隣人の存在

夫とは上手くいかず、ベランダで深くため息を吐く綾。そのため息を聞いて笑顔で声をかけてきたのは、同じマンションの隣に住む小宮さんでした。在宅で仕事をしていて、出会うたびに気さくに話しかけてくれる隣人の存在に心が安らぎ、綾から自然と笑みがこぼれます。

綾はハーブ栽培を唯一の趣味にし、大切に世話をしていました。小宮さんは綾が教えたハーブティーを気に入ってくれ、「ハーブ達、元気に育ってますね」と育て方を褒めてくれる、穏やかで話しやすい好青年です。

意識が更に高くなった夫のモラハラはエスカレート

元々エリート思考の修一でしたが、支店長代理になって考えはますます完璧主義に。ワイシャツに皺が残っていたことを、「なんでアイロンかけくらいキッチリできないんだ、支店長代理の妻だというのに」「キミは本当に無能だな」と綾を責めるのです。

ただただ謝り、修一の一挙一動に怯えることしかできない綾。食事中の小さな舌打ちひとつでビクついてしまい、「また…不味かったかな…」と、ここでも自分を責めるような考えをしてしまいます。

修一が怒っているのは自分のせいだと思い込んでしまう綾は、精神的に追い詰められ、立っていられないような頭痛や、夜に眠れないなど体調不良が現れはじめます。

綾の体調は夫の言葉も聞こえないくらいに悪化！

ある日のこと、突然早く帰ってきた修一に驚く綾でしたが、修一は早く帰ることは事前に伝えていたと話します。けれど、綾は伝えられていたことをまったく覚えていません。

夕食の準備ができていないことを咎められ、慌てて簡単なものを作ろうとする綾に、修一は気遣うことなくスケジュールを話し続けます。そうすると、修一の話が聞こえなくなるほどの頭痛が綾を襲います。
ついに修一は、「俺の話さえ聞きたくないのなら出ていけ」と追い打ちをかけるのです。

隣人・小宮さんの部屋に招き入れられて

夫の言葉にハアハアと息を乱し、泣きながら家を飛び出した綾は、共用廊下に出てすぐに転んでしまいました。物音に気づいてドアを開けた隣人の小宮さんは、綾の姿を見て「どうしたんですか？！」と心配して屈みこみ、理由を尋ねるのですが、綾は「家に…いられなくて…」とだけ返します。

小宮さんは綾を手当てするために、自宅へと招き入れます。転んで膝を擦りむいた綾を手当てする中で、夫とケンカしたのか尋ねると、綾は「私が悪いんです」と涙ながらに話しだしました。修一にひどい言葉を吐かれてもなお、自分を責めるしかできない綾は「私が悪いから夫を怒らせてしまうんです…」と言います。

そんな綾に小宮さんは……。