ディナーを食べる女と刑事になった男

石峰香澄（いしみねかすみ）と高野司（たかのつかさ）。ある事件にこれから関わることになる二人は、同じレストランにいました。

石峰は一人でディナーを楽しんでいます。料理を食べる表情はとても幸せそうです。ところが呼び出しの連絡が突然入り、残りのコース料理を急いで食べるはめになってしまいます。

一方の高野は刑事課転属のお祝いを地元の仲間としていました。高野は仲間と昔話に花を咲かせ、近所に住んでいた幼馴染のハルキの話をします。
この時ハルキが別の場所で重大な事件に巻き込まれていることを彼らは知る由もありません。

轢き逃げ？殺人？疑惑の残る事件現場

石峰が向かった先は事件現場でした。石峰は警視庁、捜査一課の刑事だったのです。石峰は現場にいた係長から事件の詳細を聞きます。

事件の被害者は地元の大学生・上田ハルキ。高野の幼馴染です。泥酔状態で車道に飛び出して、車に轢かれてしまいました。当初はハルキが事故後、自力で数十メートル移動していたことや腹部に複数の打撲痕があったことから事件性を疑われていました。しかし、傷の周囲に車の塗料が付着していたことなどから、轢き逃げとして所轄の交通課案件になるようです。

「これは轢き逃げじゃないです！」警察官たちの制止を振り切って事件現場に現れたのは高野でした。高野はハルキについて話します。「あいつは甘党でっ！酒は苦くて嫌だってずっと言ってて、呑み過ぎなんて有り得ない」「きっと何か別の事件に－！」

それを聞いた石峰は事件について思う所があったのか、近隣の監視カメラの映像を調べることにしました。

犯人は政務官の息子！？圧力により捜査ストップ？

石峰は事件の捜査を進めていましたが、係長から今回の案件は轢き逃げとして扱われ、表町署の交通課に預けられると告げられます。

石峰は、事件が起きた付近を通過した車の映像から、ハルキを轢いた車の所有者が総務大臣政務官・安藤正一の息子・安藤正孝であると突き止めていました。聴取する上でマスコミ対策が必要なので、交通課に一任できない案件だと石峰は反論します。それに対して、係長は「優秀な君なら分かるだろう、ここでは正義感だけでは出世はできんよ」とたしなめます。

ですが、石峰は真実を解き明かすために独自で捜査を続けるのでした。

圧力による改ざん！決定的な証拠が足りない…

石峰は捜査情報を教えてもらうため、表町署に勤務している高野をファミレスに呼び出します。

高野はハルキの衣類に付着していた塗料について、監視カメラに写っていた車種とカラーが一致していることを話します。しかし、なんらかの圧力がかかって監視カメラは“故障”していたことになり、記録には信ぴょう性がないとされてしまいました。安藤が犯人である可能性は高いのですが、決定的な証拠はありません。

石峰は独自で捜査を進めると話すと、高野は「僕にも協力させてください！」と申し出ます。

真実にたどり着くため、高野は石峰に協力を申し出る

高野は事件当日にハルキから電話があったことを石峰に伝えます。そのとき高野は忙しく、ハルキとまともに話すことができませんでした。けれどハルキは何か相談をしたい様子だったと高野は言います。

そのことを上司に伝えても、交通課に任せろの一点張りでした。だから高野は石峰と一緒に捜査がしたいと話します。

協力を申し出た高野に対して、石峰は「…私が捜査をする上で見たことや聞いたことを絶対に口外しないと誓えますか？」と問いかけます。

「いただきます」と手を合せて…

石峰と高野は監察医務院を訪れます。そこは死体の検案及び解剖を行う施設です。二人は監察医の日向先生に、ハルキの遺体が安置している場所に案内されます。

遺体を前にした石峰は、手を合せて「いただきます」と言います。そしてナイフとフォークで遺体の肉を切り取って、食べてしまうのでした…。