電車の中で痴漢にあい…

主人公の幸徳は、通勤中に何度か電車の中で痴漢にあっていました。車両を変えても痴漢にあってしまい、しかも股間まで触られてしまいます。幸徳が勇気を出して声を出そうとした瞬間、電車は急ブレーキで止まりました。

急ブレーキでバランスを崩した幸徳ですが、強面で筋肉隆々な男に支えられます。男はいつの間にか、幸徳の腰に手を回していました。困惑する幸徳に対して、男は「嫌なときは嫌だと、ハッキリと言ったほうがいい」と忠告します。

痴漢にあっていた場面を見られていたことに、幸徳は恥ずかしくなり急いで電車から降ります。幸徳は冷静になってから、男が痴漢から助けてくれたことに気づき、お礼を言いそびれたと思うのでした。

名前とは逆の不幸ばかりの人生

幸徳の人生は不幸の連続でした。外を歩けば何かにぶつかる、ハレの日は嵐ばかり、やっと入った会社は超絶ブラックといいことはひとつもありません。極めつけは「幸徳」という盛大に名前負けしている苗字です。

仕事が終わり帰っている途中、幸徳は電車で助けてくれた男と出会います。男は路上で占いをしていました。男は占っていかないかと言いますが、幸徳は怪しい宗教はもうたくさんと思い、今朝のお礼だけ言って足早に去って行くのでした。

唯一の癒やしはホテーくん

家に帰った幸徳を出迎えたのは、幸徳が「ホテーくん」と呼ぶ七福神・布袋の人形でした。ホテーくんは親が悪徳商法に引っかかった際に、ローンを肩代わりしたものです。しかし、見ていると段々と情がわいて、今では抱いたり、なでたりして癒されるようになりました。

三度目の出会い

翌朝、幸徳は通勤中にまたしても昨日出会った男と遭遇します。男は幸徳の顔色を心配して、「よくないものがついてる。気をつけたほうがいい」と忠告します。幸徳はそんなことは知っていますと答え、「俺だって奇跡とか神秘とかあるなら信じたい！もうこりごりなんです。そんなものがあったらならもっと―」と男に対して強く当たってしまいます。

言い過ぎたと思った幸徳は、男に謝り忠告に感謝して会社へと向かいました。幸徳は人並みに恋をして、笑い合って幸せになることが何故自分にはできないのかと考えたこともありましたが、今では自分の境遇を諦めていました。

家が火事に！？ホテー君は

仕事が終わり、自分にはホテーくんがいると思い家に帰ると、なんと家が火事になっていました。

「ホテーくん！！」幸徳はホテーくんを守るため、急いで家に突入します。ホテーくんは無事でしたが、幸徳は煙を吸って動けなくなってしまいました。「俺ここで死ぬのかな…」幸徳はこのまま生き延びてもいいことなんてひとつもないと思い、もう死んでもいいやと諦めてしまうのでした。

男の名は布袋尊

「いいのか」幸徳の前に現れたのは、あの男でした。幸徳は深い暗闇に吸い込まれそうになりましたが、男に抱きかかえられ助けられます。男は気をつけろと忠告したと言って、「いらん命なら俺が貰うが構わんな？」と幸徳に問いかけます。

幸徳は男のことを死神だと思います。死神が迎えにきてくれたのならそれでも良いと幸徳は思いますが、ホテーくんだけは助けてあげてと男にお願いをします。

「お前、俺を知ってるのか」と男は驚き、「俺は布袋尊という」と名乗りました。ホテーくんとは姿形がまったく違うことに幸徳は驚きますが、股間が大きいところはホテーくんと一緒です。布袋尊は「どうせ逝くんだ。極楽浄土を見せてやるよ」と言って、幸徳の股間に手を伸ばすのでした…。