死者の声を聞く能力

米倉マサオは死者の声を聞ける能力を持っていました。「クルシイ。イタイ。タスケテ」登校中に声を聞いた米倉は、校舎裏で不良達に殺されたカラスを見つけます。「この助けを求める声を、せめて生きているうちに聞ける能力だったら、こんな思いをしなくて済むのに」米倉はそう思いながら、亡くなったカラスを土に埋めて、弔ってあげました。

転校生の安堂さん

遅刻をした米倉が急いで廊下を走っていると、曲がり角で女子生徒とぶつかってしまいました。しかも勢いで彼女を押し倒してしまい、胸を掴んでしまいます。米倉は急いで離れると、彼女は「気にしないで」と言って、去っていきました。「女の子って、もっとあったかくて、やわらかいものだと思ってたけど」米倉は安堂の身体が思ったより硬かったので、少し戸惑います。

米倉が教室に入ると、そこには先ほどの女子生徒がいました。彼女の名前は安堂ジュリと言い、転校生だったのです。安堂は大手製薬会社、安堂製薬の令嬢でした。米倉は先ほどの事を思い出して意識してしまいますが、「期待なんかしても、ろくな目にあわないって」と思ってしまいます。

才色兼備な安堂は、瞬く間にクラスの人気者となります。しかし令嬢である彼女が、昼食に血のしたたるようなステーキを豪快に食べる姿を見せたので、クラスの皆は「肉食系女子！！」と驚きました。

安堂さんに聞かれた！？

米倉は能力を使って死んでしまったカラスと話しているところを、安堂に目撃されてしまいました。米倉は今まで他人から能力のことを気持ち悪がられてきたので、独り言だとごまかします。

安堂は深入りしてきませんでしたが、米倉に「今朝の件についてだけど、あのとき何か感じなかった？」と聞いていきました。米倉は安堂の意外とこわばった胸のことを考えていると、安堂はそれを内緒にして欲しいとお願いします。米倉は「もちろん。誰にも言わないよ」と約束しました。

不良に絡まれる安堂さん

放課後、米倉がカラスの墓に弁当の残り物を供えに行くと、安堂が不良に絡まれている場面に遭遇します。安堂は、「あなた方のような礼儀知らずの輩が、私を誘うなんて10年早いわ」と不良達を一蹴します。しかし挑発されて逆上した不良に、ナイフで制服を切り裂かれてしまいました。

安堂さんを助ける

米倉は安堂を助けようと思いますが、不良達相手に尻込みしてしまいます。「タスケテヤロウカ？」そのとき、死んだカラスが話しかけてきました。能力を使うことをためらう米倉に、カラスは「ヒトコトダケ言ワセテクレ。死ンダオイラト話シテクレテ、ウレシカッタ」とお礼を言います。その言葉を聞いた米倉は、能力を使うことを決意しました。

「先輩は最近、動物を殺しましたね？」米倉は不良達に近づきます。「クルシイ…イタイ…ナゼ殺シタ…」すると校庭のスピーカーから、怨念にまみれた動物達の声が聞こえてきました。ビビった不良達が米倉を追い払おうとしたとき、土の中からゾンビとなったカラスが飛び出します。不良達はその姿に驚き、逃げていきました。

安堂さんはアンデッド

米倉は、一部始終を目撃していた安堂にレストランに連れて行かれます。そこで安堂から「私、あなたの能力にとっても興味があるの」と言われますが、米倉は「僕の能力はむやみに見せたり、私利私欲のために使うものでもない」とキッパリ断ります。

「なるほど。米倉くんなりに考えてるんだ。信頼が置けそうで安心したわ」米倉は死者の声を聞きます。米倉が当たりを見まわすと、安堂は「鈍いわね。私が話しかけてるの！」と自分を指さすのでした…。