少年Aの事件

6年前の2014年、少年Aこと鬼榊赤光は、自身の通う名門進学校での卒業式典中に、ステージ上から銃を乱射して、逃げ遅れた教師や生徒をナイフで殺害しました。殺傷人数30人以上の事件を起こした鬼榊。そのサイコパスさ、IQの高さから、彼を盲信するファンクラブまで存在していました。

現在は都立特別刑務所に収監され、死刑囚となった鬼榊に、ジャーナリストの透坂碧は、一ファンのふりをして手紙を出し続けていました。透坂は取材や独占インタビューが目的ではなく、どうしても鬼榊に会って聞いてみたいことがあったのです。

「これは恋じゃない…。でも獄中結婚したら、彼に会える…？」透坂は後輩の青山から、殺人鬼に恋している女性が獄中婚を目指しているという話を聞き、獄中結婚について考えるのでした。

心に傷を負ったジャーナリスト

仕事が終わった後、透坂はホテルで青山に抱かれますが、行為中に無反応でした。「すいません。オレ下手で」謝る青山に対して、透坂は「ごめんね。私がちょっと壊れてるの」と言って、自分の過去を話します。

透坂は子供の頃に、両親を強盗に殺されていました。犯人は捕まらず、第一発見者である透坂が疑われて、友人達は離れ、マスコミにもひどいことを書かれてしまいます。「何もかも絶望して心を閉ざした。あのときに何かが欠けてしまった」透坂はその後、児童施設に入り、名前を変えて人生をリセットしました。

「なんの迷いもなく人を殺せるって、どういう人間なのかな…？」それ以来、透坂の感情は憎しみしか理解できなくなってしまったのです。「オレがいます。センパイ」透坂は話を聞いた青山に抱きしめられました。

鬼榊に会いたい女達

「もう帰るね」透坂は鬼榊への手紙を投函しに行きます。「こんなに鬼榊赤光に会いたがってる女は私だけ…」と思っていた透坂でしたが、異なる理由で鬼榊に会いたがっている女性は他にもいました。

殺人鬼にラブコールを送る、お騒がせ不謹慎ネットチューバー・桃川鈴香（ももかわすずか）。鬼榊の事件の際に人質となった、ストックホルム症候群メンヘラ女・黒木杏(くろきあん）。性欲異常の獄中結婚常習者・化野紫（あだしのゆかり）。被虐人生の熱狂信者・灰田友美（はいだともみ）。4人もまた、それぞれの理由で鬼榊を求めていました。

少年Aからの招待状と婚約指輪

ある日、透坂のもとに鬼榊の保証人を名乗る百木が現れて、鬼榊からの招待状を透坂に渡します。招待状には、透坂と獄中結婚したいと書かれており、記入済みの婚姻届が同封されていました。

百木は招待を受け入れれば婚約指輪を渡すと話して、婚約指輪を透坂に見せます。「本当に鬼榊赤光との獄中結婚の権利？」透坂はこのことを口外しないという条件を飲んで、招待を受け入れることにします。

集められた花嫁候補達

翌日、透坂は郊外の屋敷に連れて行かれます。屋敷に着くと、百木に「あなたはすぐに鬼榊赤光様のために、お身体を清めて指輪をはめてください」と言われて、透坂はウェディングドレスに着替えさせられました。

「他の花嫁候補の皆さまですよ」透坂が案内された部屋には、同じくウェディングドレスに着替えた桃川、黒木、化野、灰田がいました。百木は集まった5人に「これから皆さまには、バチェラーである鬼榊様の花嫁候補として争っていただきます」と話します。

命がけの獄中結婚バチェラー

「いやよ！私帰る！こんなゲーム参加しない！」そこにもう1人の花嫁候補、上茶谷ノアが現れます。イジメられていた上茶谷はクラスメイトに命令されて、ラブレターを書かされていました。上茶谷が指輪を無理矢理外そうとすると、突然うめき声を上げて倒れてしまいます。透坂は上茶谷に声をかけますが、上茶谷は指輪に仕込まれた毒で死んでいました…。