今日から始まる梶原兄妹の下宿生活！

今日は、梶原（かじわら）兄妹の転校初日です。「お兄ちゃん、もう行くよー！」とお弁当を手に声をかけたのは、高校2年生の明日華（あすか）。1つ年上の兄・慶（けい）は、制服のネクタイを締めながら現れました。

年の近い二人の兄妹は、下宿先の古い長屋に引っ越してきたばかり。慶は、早起きをして家事を済ませてくれた明日華の頭をポンと撫で、「そんなにしっかりしなくてもいいよ」と優しく言います。家を出る前、花が供えられた両親の遺影に二人で手を合わせるのでした。

イケメンで秀才の慶は、転入初日から注目の的！

誰もが目を引くイケメンで秀才の慶は、転入初日から女子たちの注目の的！明日華が教室に入るなり、「3年に転入したイケメン、お兄さんって本当！？」と、クラスの女子たちから質問攻めにあいます。

戸惑う明日華を助けるように、突然、慶が教室に現れました。「俺の妹になにか用？」と明日華を後ろから抱きしめます。慶の登場に女子たちが沸き立ちました。クラスメイトの一人が「お兄さん、彼女いるって本当ですか！？」と尋ねます。

すると慶は、口元に指をあて「――秘密。教えたくないくらい独占欲やばいんだ」と答え、さらに女子たちを沸かせるのでした。そして、「あんまり妹を困らせたら承知しないよ」と言い残し、慶は教室を去っていきました。

兄妹ごっこはここまで…

突然教室に現れて明日華を守ろうとしたり、過剰なスキンシップをしてくる慶。そんな慶のふるまいに、明日華は戸惑うばかりです…。「わざとバレそうなこと言ってるとしか思えない！」下宿先の廊下で二人きりになると、明日華は慶を責めました。

「私たち身寄りのない兄妹だからみんな優しいんだよ」「本当のこと知ったら　白い目で見るに決まってる…！」下宿先の部屋に戻ると、慶は明日華の薬指に指輪をはめ、その手にそっと口づけるのでした…。

梶原兄妹は、本当は兄妹じゃない！？

そう…慶と明日華は、本当の兄妹ではありません。もともと二人は、家が隣同士の関係でした。しかし、明日華は両親を失い天涯孤独となってしまいます。そんな、ひとりぼっちの明日華を守るため慶は明日華と結婚し、夫婦になったのでした。

しかし、まだ高校生の二人が共に平穏に暮らすためには、夫婦であることを秘密にしなければなりません。そのため、遠い田舎に引っ越し、誰も知らない土地で「身寄りのない梶原兄妹」として新生活を始めたのでした。

それにも関わらず、独占欲が強く人前でも恋人のように接してくる慶に、明日華はハラハラさせられてばかりです。「私は普通に！平穏に暮らしたいの！」と明日華は慶に伝えます。「………わかったよ」と慶が言いました。

幸せな二人の姿…を見ていた人がいた！？

「その代わり俺にちょっとだけ新婚生活を楽しませてよ」と言い出す慶。明日華が戸惑いながら、「…なにをすればいいいの？」と尋ねると、「じゃあ『今日一日おつかれさま』って俺のネクタイほどいて」と求めます。

簡単な答えにホッとした明日華でしたが、男性のネクタイをほどくのは初めてのことで、うまくできません。手こずっているうちに、二人の顔はどんどん接近して…。赤面する明日華の顔を、何も言わずにまっすぐと見つめる慶。明日華は恥ずかしさで手が震え、慶の顔を見ることができません。

「こっち見て　――明日華」と慶は明日華の顔を引き寄せ、キスをしました。二人きりの幸せな時間…。しかし、その様子を、扉のすき間から覗き見ていた人がいたのでした…。