結婚相談所のキューピット

「お二人の誠実な愛が、この素敵な結婚を引き寄せたんですね」結婚アドバイザーの赤星は、結婚が成立したカップルを祝福します。結婚相談所の成績トップである赤星は、今まで数々の結婚を成立させてきました。「赤星さんに出会えて本当に良かった」赤星はカップルから感謝されます。

大学生の頃から、赤星は恋愛相談をされる機会が多くありました。相談に乗ってアドバイスが的中するうちに、赤星は百戦錬磨のキューピットと言われるようになります。その後、大学の先輩に声を掛けられて、結婚相談所で働くことになったのです。赤星は、結婚は条件を合わせて、それなりの演出をすればどうとでもなると考えていました。

怪しすぎる入会希望者

赤星のもとに、さくらという入会希望者の女性が現れました。彼女の容姿を見て、赤星は「外見だけなら結婚したがる男性はたくさんいそうだが…。この美人が結婚できない理由はなんだ？」と不思議に思います。

赤星はさくらに色々な質問をしていきました。その中で、いつまでに結婚したいという質問に、さくらは「いますぐ！早く結婚したいんです！」と前のめりになって答えます。それを聞いた赤星は「必ずあなたが望む結婚をしましょう！」と約束しました。

しかし、赤星が本人確認と入会金10万円について話すと、さくらは急に歯切れが悪くなります。お金は出せないし、本人確認も出せないとさくらが話すので、赤星は「この女怪しすぎだろ…」と思います。赤星は一度じっくり考えてみてはと、さくらに帰るよう促しました。

私ゾンビなんです！

「どうしても結婚したいんです！」さくらは赤星の腕にしがみつき、帰ろうとしません。赤星はさくらの腕を強引に引き、帰らせようとします。赤星がさくらの腕を強く引っ張ると、なんとさくらの腕がポキッと取れてしまいました。

予想外の出来事に赤星が狼狽えていると、さくらは「私ゾンビなんです！」と打ち明けました。さくらは1ヶ月ほど前に気が付くとお墓の前に立っていたと話します。そこで、つぎはぎのある自分の身体を見て、自分がゾンビだと認識しました。生前のことは覚えていませんでしたが、結婚したいという思いだけが強く残っていたのです。

ゾンビが結婚できるわけなんてない

「は？ゾンビ？」さくらの話を、赤星は理解できません。赤星は「それとこれとは別の話なので、やはり本日はお引き取りを…」とさくらに帰ってもらおうとします。しかし、さくらは自分の頭を外して手で持ち、「私の秘密を知ったからには、絶対に協力してもらいます！！」と赤星に迫りました。

「絶対に嫌だ！」と赤星は断りますが、「結婚アドバイザーなら助けてください…！」とさくらは泣きつきます。ですが、「ゾンビが結婚なんてできるわけないだろ！」と赤星が強く言うと、さくらはあきらめて帰っていきました。

結婚できない人生に価値なんてない

翌日、赤星は来客してきた山田という男性の対応をします。赤星は山田に、相手の女性から断りが入ったことを伝えないといけませんでした。「…あのときに私がもっと的確なアドバイスができていれば…」赤星は自分が力不足だったと山田に謝り、次も頑張りましょうと伝えます。

すると山田は「そうやって今まで何年…何か月、結婚費用を払い続けてると思ってるんだ」と話し始めます。そして、上手くいかなかったのを全て赤星のせいにして、「役に立たないアドバイザーなんて死ね！」と赤星にハサミを向けました。

赤星は冷静になるよう説得しますが、山田は逆上して話を聞きません。「結婚できない人生には価値がないんだよ。あんたを殺して俺も死ぬ！」赤星が山田にハサミで刺されようとしたとき、さくらが間に入り身代わりになったのでした…。