クロちゃん、お手製のおでんを食べて死亡！しかし…！？

「フフ！お手製おでんだしん！」とウキウキした表情のクロちゃん。目の前には、クロちゃんが30日間も煮込んだ、凄惨なおでんがありました。SNSのフォロワーに「マジか、こいつ」「腐ってんじゃねーか」と言われてしまいますが、クロちゃんは「関係ないんだしん！」とおでんを口に運びます。

するとクロちゃんは突然ゴフッと吹き出し、鍋に顔を付けてそのまま絶命。その直後、激しい砂ぼこりと共にクロちゃんは見知らぬ世界へと呼び出されたのでした。

クロちゃん異世界へ転生！

「あなたこそ、この世界に光をもたらす勇者様ですね！！」クロちゃんをこの世界に召喚したマリエルという召喚士が話かけてきます。クロちゃんの目の前には、見たことのない生き物や建造物が。なんとクロちゃんは異世界へと転生してしまったのです。

しかし、クロちゃんは何のことか分かりません。「わかんないだしん！！」マリエル自身も最初は剣と盾を構えた、いかにも勇者の格好をした人が来ると思っていました。しかしそこへやってきたのは、だらしない外見をしたクロちゃん。召喚が失敗したのかと不安に思ってしまいます。

「いや…人は外見じゃない……！！」マリエルはそう信じて、この世界に勇者を召喚した経緯を話すことにしました。

魔王に支配された世界

クロちゃんが転生した世界は魔王に支配されていて、この世界の人々は魔王の目を避けながら生きていました。魔王やその配下を倒すため、勇者の力が必要不可欠だとマリエルは話します。そこで召喚士であるマリエルが、長年かけて異世界から勇者を呼び出す術を習得。こうして召喚されたのがクロちゃんだったのです。

「転生した者には魔王を倒す力があると言われています」とマリエルは続けます。そこでクロちゃんにどういう力があるのか見せてほしいと頼みました。

魔王の腹心・ネロの襲来

「――で？あなたの力は？」「ないんだしん！！僕は戦うことが好きじゃないから！！」それを聞いたマリエルはクロちゃんの胸ぐらをつかみ、「てんめ…召喚士としての私の力が不足だったったってのか？んなワケないよなぁ…オイ！！」とブチ切れます。

詰めよられたクロちゃんは、使える技があったことを思い出しました。近くにいたゴブリンに、秘技“慈母の微笑み”を繰り出します。するとゴブリンは、あまりの気持ち悪さに逃亡。「ダメだこいつ！！全力で使えねーザコだ！！」国王に選ばれる程の超エリート召喚士であるマリエルがこのようなザコを召喚したとなれば、国中の笑い者になってしまいます。

と、その時。突如クロちゃんとマリエルの近くで爆発が！「こんな片田舎に勇者の反応が出るとはな…今すぐ滅ぼしてくれる…」そこへ現れたのは、魔王の腹心であるネロだったのです。

クロちゃん、フルボッコ！？

いきなりの強敵の出現に戸惑うクロちゃんとマリエル。勇者の気配を察知したネロは、クロちゃんに魔剣“ソウルサクリファイス”で斬りかかります。「いったーいったームリムリ今のホントムリー！！」と泣き叫ぶクロちゃん…。しかし剣で斬りつけられたのにもかかわらず、クロちゃんは全く怪我をしていませんでした。

「ちっ…！！多少は頑丈らしいな」ネロは暗黒魔法“デスグラビティ”と裏暗黒魔法“ヘルストーム”を立て続けにクロちゃんへ向けて放ちます。「痛い…痛いんだしん……」それでもクロちゃん死にません。確実にオーバーキルダメージを与えているはずなのに…。ネロは動揺を隠せません。

「いいだろう！！これが私のフルパワーだ！！」ネロはクロちゃんにとどめを刺すため、街をひとつ消すほどの禁忌魔法“エンドオブアビス”をクロちゃんへ放つのでした。

クロちゃんの持つ力

「フハハハ！！これで終わりだ！！」勝利を確信するネロ。しかし、エンドオブアビスの衝撃波が突如なくなり、周囲が輝きだします。その輝きから出てきたのは、無傷で裸の、神々しい姿のクロちゃんでした。街を消すほどの威力を持った魔法を受けたはずが、クロちゃんは服が破れただけ。

これはクロちゃんの持つスキル“芸人体質”によるもの。笑えないレベルの致命的なダメージは無効化するという効果がありました。「この人…怖がりで痛がりだけど打たれ強さが最強！！つまり体力が無限大！？」もしかしたらこの人なら魔王から世界を救うことができるかもしれない。召喚士マリエルはそう思うのでした…。