監禁少年

7月9日、この日は中井広大が磯田正巳、磯田悠里夫妻の元にやって来た日でした。「初めて来たときは凄い嫌がってましたけど、今はどうかな？少しは馴染んでくれてたら嬉しいな」悠里が広大の事を話すと、正巳は「…あんまり入れ込むなよ。18になったら、どうしたってお別れなんだ」と意味深な発言をしました。

朝食後、正巳が仕事で出かけると、悠里は急いである部屋に向かいます。厳重に施錠されたドアを開けて階段を降りると、そこには両手に手錠をかけられ、部屋から出られないように鎖でベッドに繋がれた少年がいました。「今日はずっと一緒にいられるね。広大」広大は磯田夫妻に監禁されていたのでした。

好きな子と花火大会の約束

広大が磯田夫妻に囚われてから、3年の月日が経ちます。3年前、広大は中学生で、サッカー部に所属していました。広大はサッカー雑誌で公立の星と紹介されるほどの選手でした。出場した県大会ではハットトリックを決める活躍をして、広大はクラスメイト達から賞賛されていました。

その一方で、広大は相田というクラスの女子に秘かに想いを寄せていました。部活の帰り道、1人で公園のベンチに座っていた相田に、広大は勇気を出して声をかけます。「昼、元気なさそうだったから…大丈夫かな？って」「きっ…気にしすぎだって何もないよっ！」相田は、活躍して遠い存在となっていく広大に淋しさを感じていましたが、口にはできませんでした。

それから、2人は進路の事を話します。サッカーのプロを目指す広大は、県外の強豪校にスカウトされていて、そこに進学する予定でした。相田は別の高校に進学する予定だったので、「離れちゃうね。高校になったら」と淋しそうにします。そこで広大は意を決して、相田を来月の花火大会に誘いました。

車に乗った女性に道を聞かれて…

「花火大会の日、ちゃんと告白するぞ」相田と花火大会に行く約束ができて、広大は嬉しそうに帰り道を歩いていました。そこに1台の車がやってきて、広大の目の前に止まります。「ちょっと道教えてくれないかな？」車に乗っていたのは悠里でした。悠里は広大に竹川総合病院の場所を聞いてきました。

広大が口頭で道案内をしようとすると、悠里は主人が病院に運ばれて急いでいるから、車に乗って案内して欲しいとお願いしてきました。広大は怪しいと思いますが、「女の人だしなぁ」とお願いを聞き入れます。「助手席、モノが多いから、後ろにお願いね」広大は悠里に言われるがまま、後部座席のドアを開けました。

誘拐

広大はドアを開けるやいなや、後部座席にいた正巳に羽交い締めにされてしまいました。「ちょっ！？ちょっ！？」「悠里っ、車出せ！！」突然の出来事に広大は気が動転してしまいます。必死にドアを開けようとしますが、チャイルドロックが掛かっていて開けられませんでした。

「大人しくしててくれ広大くん。さっき一緒にいた子殺されたくねぇだろ？」広大は正巳に脅されて、車で連れていかれてしまいました。

脱出を試みるが…

「ココが今日から広大くんが暮らす部屋だよ」広大は磯田夫妻に、ベッドの横にトイレがあるだけの殺風景な部屋に案内されました。目隠しと耳栓をされて状況がわからない広大でしたが、長い時間車に乗っていたので落ち着きを取り戻します。「やっぱりコレは誘拐なんだ」改めて広大は自分の置かれた状況を理解しました。

「それじゃ、悪いけど拘束させてもらうよ」広大は悠里が手に持っている手錠をかけられたら終わりだと思い、逃げることを決意しました。「大丈夫っ。関東一の俊足FWって雑誌でも紹介されてたじゃないか…抜ける！！」広大は2人から逃げようとします。ところが、正巳にスタンガンで叩かれて、広大は倒れてしまうのでした…。