気付いたら湖の真ん中で浮いていた

会社を辞めることになった小椋俊介は、ハローワークで仕事を探していました。「ちゃんと下りっかな退職金…それ以前に退職事由を会社都合にもってけるのか？」俊介は疲れ切った表情で今後の事を考えますが、先行きは暗いままです。

俊介が意気消沈していると、突然意識が途切れて溺れそうになります。気が付くと、俊介は湖の真ん中で宙に浮いた魔法陣の上に座っていました。魔法陣はすぐに消えてしまい、俊介は湖に落ちてしまいます。「は！？どっ、えっ、なっ、何処ォ！！？」俊介は訳が分からず叫びました。

知らない地で出会ったのは…

焦りながら俊介は周りを見渡して、岸に建てられた建物を見つけました。「たっ…助かっ…」俊介は命からがら建物までたどり着きます。ですが一安心したのも束の間、耳が長く、髪の長い男・ミィユが血走った眼で俊介を見つめていました。

「ころさないでくださいッッ」俊介は命の危険を感じて、土下座をして命乞いをします。するとミィユは俊介の頬に手を当てて、「おかえり」と言いました。俊介が戸惑っていると、ミィユは気を失って倒れてしまいます。

不思議な家

「次から次になんなの」俊介はミィユを担ぎ上げて、近くにあったミィユのものらしき家の中に入ります。中は真っ暗だったので、俊介が「明かりとかないのかな」と話すと、勝手に照明がつきました。

「いやいやいや、きっっったな！！！繁忙期の我が家の比じゃない」家の中がとても汚かったので、俊介は驚きます。「とりま窓！！窓全開にしたい」と俊介が言うと、自動で窓が全て開きました。「なる…ほど…！？」俊介はそういうものだと思い、深くは考えずに部屋を暖めてもらったり、ミィユの着替えを用意してもらったりします。

怖い人かと思ったけど、よく見たら美人

「すんませんけど、勝手に脱がせちゃいますね」俊介はミィユをベッドまで運び、ズブ濡れの俊介が抱えたことで濡れてしまったミィユの服を脱がせました。

「…てか、さっきはすごい怖い人かと思ったけど、よく見たらただの美人…」俊介はベッドに横たわる上半身裸のミィユの姿に見とれてしまいます。そして、寒さのせいでミィユの乳首が立ったとき、俊介は一瞬興奮してしまいました。「…ん？何だ今の感覚」俊介は自分の感覚を不思議に思います。

「ミィユ」って呼ばないの？

「そういやさっきこの人『おかえり』て、言ってた？」なぜミィユは水の中から出てきた自分にそう言ったのか、俊介は疑問に思います。「あーでも…この人の耳の形みたかんじ、ここではそういう人もいんのかな…」俊介は先の尖ったミィユの細長い耳を見て、うっとりしてしまいました。

俊介が指を伸ばしてミィユの耳に触れようとすると、ミィユが目を覚まして起き上がります。「勝手にすみません。てか俺の目の前であなたが突然倒れちゃってそれで」俊介は驚いて、ミィユに必死に釈明しました。

するとミィユは「なあに？『あなた』？普段通りに『ミィユ』って呼ばないの？」と幸せそうに微笑みました。

ミィユは死んだ恋人を喚び戻したかった

「―は？普段？…って？俺、あなたと会うの初めてです」俊介が正直に話すと、ミィユは愕然とした表情を浮かべます。そして、「そうか、失敗、したんだ」と言って、ミィユは泣き崩れてしまいました。ミィユは死んだ恋人を喚び戻したかったのです。しかし、喚ばれたのは、死んだ恋人と同じ見た目の俊介だったのでした…。