煌めきプロムナード

「シャルティオ様、素敵…！さすが『煌プロ』イチの悪役王子！！」主人公は目を輝かせながら大好きなゲーム「煌めきプロムナード」をプレイしていました。

「煌めきプロムナード」は貴族学院を舞台にした恋愛ゲームで、家が没落したヒロインのファリアが優等生の集まるSクラスのお世話係として入学し、その中でイケメンキャラと恋愛するという内容です。主人公はその中でも、悪役王子・シャルティオが大好きでした。

「煌プロ5周年キャンペーン中！」主人公の近くに、「煌プロ」の宣伝トラックが走ってきました。「あのトラック、シャルティオ様のイラスト入ってないのよね」シャルティオが攻略対象のキャラじゃないことに、主人公は気を落とします。その時、宣伝トラックが主人公の方に突っ込んできました。

ゲームの悪役王子に転生！？

「これが走馬灯ってやつかな…」トラックに轢かれてしまった主人公は、薄れゆく意識の中でシャルティオのゲームでの登場シーンをいくつも見ます。

死を覚悟した主人公ですが、目覚めると貴族が住むような部屋にいました。「私、死んだはずじゃ…なんでこんな場所に…」主人公は事態を把握できません。

そこに猫が現れて、驚いた主人公は目の前に置いてあったお茶をこぼしてしまいます。「―大変！お怪我はありませんか！？」主人公を心配する女の子は、「煌プロ」のヒロイン・ファリアに似ていました。「あ、大丈夫ですよ。自分で片付けますから…ん？」主人公はこぼれたお茶に反射して映った自分の姿を不思議に思います。

「そんなシャルティオ様にそんなことさせられません！」とファリアに名前を呼ばれて、主人公は自分がシャルティオに転生したことに気づきました。

ゲームのメインヒーローと遭遇

服が濡れてしまったシャルティオは、ファリアにSクラスの衣装室に案内されます。その道中、シャルティオが見た校舎の作りはゲームとまったく同じでした。衣装室についたシャルティオは部屋の前でファリアと別れて、1人で中に入ります。

「シャルじゃないか。お前がクラス共用の衣装室を使うなんて珍しいな」そこには「煌プロ」のメインヒーロー・レンがいました。

男のはずなのに胸が…

「それにしても貴族の服ってこんなに苦しいんだ」シャルティオはため息をついて、濡れた上着を脱ぎます。「シャルティオ様の服の中を見るなんて、そんなの悪いでしょ！でも見たい！」シャルティオがシャツを脱ぎ上半身を見ると、男の身体にはないはずの胸がありました。

「あれ～？？」シャルティオはズボンを脱ぎ下半身を確かめると、そこにあるはずのものがありませんでした。「…なんだろう、シャルティオ様は男のはずなのに、ないはずのものがついていて、あるはずのものがないのですが…！？」シャルティオは驚愕の事実に狼狽しました。

女だとバレてしまい…

「どうした？」シャルティオが真っ青な顔をしていると、レンが声を掛けてきました。「なんでもないって言ってる！」「なんだ～？シャルが焦るところなんて初めて見た」レンは後ろから肩を組んできました。「こんのバカ男…！！手！手が当たってる！！」レンの手がシャルティオの胸に触れてしまいます。

「それにしてもお前、本当に細いな…ちゃんと食ってるのか？」さらにレンはシャルティオの腰周りを触ります。「ひゃあっ」シャルティオは思わず声を上げてしまいました。「ていうか、なんでコルセットつけて…？」不思議に思ったレンはシャルティオの胸元を見ます。

「あれ…？お前、女―――っ！？」レンはシャルティオの胸に気づき、シャルティオが女だと知ってしまいます。恥ずかしくなったシャルティオは、レンを蹴り飛ばしてしまいました。

悪役王子は実は男装悪役令嬢

「どうなさいましたか、シャルティオ様！？」騒ぎを聞きつけて他の生徒達が部屋に入ってきました。「いや、なんでもない」シャルティオは（まずい人が集まってきた！）と焦ります。

すると、レンはシャルティオに上着をかぶせて、肩に担ぎ上げます。「騒いで悪かったな。シャルは大丈夫だから心配すんな」「おい下ろせ！自分で歩ける！！レン！！」レンはシャルティオを担ぎ上げたまま、部屋から出ていきました…。