運命の「番」のはずが…

この世界では、男女という性別以外に第2の性が存在します。エリート体質で社会の重要なポジションについていることが多いα、人口比で一番多いβ、発情期があり、男女体ともに妊娠が可能なΩ、この3つの性がありました。

その中で、αとΩには「番」という特別なシステムがありました。番になったΩはαとのセックスで強い快感を覚えるようになります。しかし、番が運命の相手であった時代は終わろうとしていました。

番の関係であるΩのレイとαの天星。セックスでレイがとても気持ち良さそうにしている一方で、天星は仕事を優先して途中でセックスをやめてしまうことがありました。「オレが後天性の中途半端なΩだからかわかんねーけど、これで運命の番とか、バカみてー…」レイは天星との結婚生活にどこか不満を感じていたのでした。

首につけたチョーカー

「…お前…それって…」ある日の朝、レイは首にチョーカーをつけて天星の前に現れます。レイがつけていたチョーカーはΩのフェロモンを緩やかに無効化する効果があるものです。数年前からフェロモン無効化の研究が進み、今では様々な無効化グッズが登場していました。

その効果は運命の番であっても例外はなく、レイがチョーカーを着け続けることは天星との番契約を解除することを意味します。

離婚してくれ

「こんなもので番契約を解除できると思ってんのか。はずせ」天星はレイにチョーカーを外すように迫りました。

「いいぜ、ただし条件がある」レイはチョーカーの薬が身体に回りきって番でなくなるまでの1ヶ月の間に、自分が欲しいものをくれたら天星のモノでいてやると話します。「それが無理なら、離婚してくれ」レイははっきりと天星に離婚を突きつけました。

1ヶ月なんていらねえよ

「ふざけんな、そんなもん誰が聞くか」天星はレイとの結婚は親同士で話がついていると言い、「お前が出てけば、父親の会社どうなるかわかってんのか」と話します。それに対してレイは、「必死になっちゃって、そんなにオレと別れたくねーの？旦那様」と天星を挑発しました。

「釣った魚にエサをやらないんじゃ、逃げられても文句言えねえことくらいガキでもわかるんだよ」とレイはさらに天星を煽ります。天星はレイの要求を受け入れ、「1ヶ月なんていらねえよ。どうせすぐそっちが音をあげて尻尾ふってくるようになる」と自信満々に言い放ちました。

プレゼント攻撃

天星はレイと街に繰り出し、レイに好きなものをなんでも買い与えようとします。最初は乗り気ではなかったレイですが、「これなんかお前に似合う」と服を天星に褒められると照れてしまいました。

「ガキのおもちゃみたいな時計してっし、新しいの買いに行こ―ぜ」と天星は提案しますが、「時計はいらねえよ」とレイは断ります。レイがつけていた時計は、工場の経営が大変な父親が結婚祝いにプレゼントしてくれたものだったからです。

本当は嬉しかったはずなのに…

「なあレイ無理してないよな？」父親は自分のためにレイが無理して天星と結婚しているのではないかと思っていました。「んなワケねーだろ」レイは無理などしてなく、昔から天星のことが好きだったのです。レイがΩになってから、「オレの番になれよ」と天星に言われたときは本当にうれしかったのでした。

その後も天星のプレゼント攻撃はしばらく続きますが、1週間経ってもレイの考えは変わることはなかったのです…。