【公式】『家族失格』たとえ雇われた他人同士であっても、新しい家族を失いたくない…

2021/11/24更新

今回はコミックフェスタで配信中の青年コミック、『家族失格』をご紹介します。著者は加藤羽入先生です。

家族を亡くし、孤独な生活を送っていた杉山六郎(すぎやま ろくろう)は、那夜久遠(なや くおん)に半年間家族として過ごして欲しいとお願いされました。最初は半年が過ぎたら出ていくつもりだった六郎ですが、一緒に過ごすうちに新しい家族を大切に思うようになります。ですが、約束の半年が経とうとした頃、六郎はある事を知るのでした…。

それでは、あらすじとともに作品をご紹介していきます。

紹介作品

家族失格
加藤羽入
理想の「家族」を作るため…相応しくない者は「失格」です。雇われ家族達は残酷なおままごとから生きて出ることができるのか…?

家族を失った日

「い、妹は…助かるんですか!?」六郎は、病気で苦しそうにしている両親と妹を助けて欲しいと診察に来た医者に必死にお願いをしました。しかし、知事の家族に急患が出たと看護婦から聞いた医者は、六郎の家族を治療せず立ち去ろうとします。

「ちょっ…待ってください先生、どこに」六郎は医者を必死に引き留めようとしますが、「うちには入れられない。うちでは関われないんだ、この地域の人間とは」と医者は貧困層居住区に住む人間を入院させることはできないと告げます。

「待って、お金なら払います何年かかっても必ず、僕が払いますから」六郎の叫びも空しく、医者は車に乗りその場から去って行きました。

新しい家族

8年後、家族を病気で亡くした六郎に新しい家族ができます。父親の幸次郎(こうじろう)、母親の綾蜜(あやみつ)、妹の希子(きこ)と久遠。大きな屋敷で、5人は仲睦まじく暮らしていました。

しかし、六郎と幸次郎、綾蜜、希子は那夜久遠に雇われていました。この家族は作られた半年間だけの家族だったのです。

雇用主

半年前、六郎を含めた4人は久遠に「わたくしの―家族になっていただきたいのです」とお願いされました。驚いた4人は久遠から家族になって欲しい理由を聞かされます。

久遠の母親は外国人相手の娼妓で、久遠を身籠ったことが知られると捨てられてしまいました。流転の末、養父の那夜朔造(さくぞう)に拾われた2人は、やがて大きな屋敷を与えられます。しかし、朔造は事業で忙しく屋敷にあまり訪れませんでした。

母親が洋娼であったことと、久遠の外人のような見た目で村人からは嫌われ、2人は孤独に暮らしていました。それに耐えかねた母親は酒に逃げ、2年前にこの世を去ってしまいます。それから、久遠は独りぼっちで暮らしていました。

見かねた使用人の及川が人を雇うことを提案し、六郎たちを家族として雇うことにしたのです。「不自由なきようわたくしの出来ることは全てやらせていただきます。ですから、ですから、どうかお願い致します…!」久遠は4人の前で土下座をして、家族になって欲しいと懇願しました。六郎は久遠の姿を見て、申し出を断る気にはなれませんでした。

妹の面影

「半年間だけど良い父親になりたいと思います、よろしくどうぞ」岩田(いわた)幸次郎も六郎と同じく流行り病で家族を亡くして、それからはずっと1人で生きてきました。母親になる高屋敷(たかやしき)綾蜜は、結婚に失敗した過去を持っています。製糸工場で働いていましたが、若い人ばかりで居づらくなり、久遠の話を受けることにしました。

六郎の妹になる浅井(あさい)希子は3年前の震災で親を亡くし、まだ6歳の若さで街の商家で下働きをさせられていました。あまり喋ることが得意ではない希子は、どこか不安そうにしています。六郎は希子に亡くなった妹の面影を重ねて、希子を元気づけるのでした。

作りものの家族でも…

それから5ヵ月が経ち、契約満了まで後1ヶ月となります。六郎は半年が過ぎたら屋敷から出ていくつもりでいましたが、六郎にとって新しい家族と過ごす時間はかけがえのないものとなっていました。

(僕は今度こそ、この”家族”を護りたいと思っていた)六郎は新しい家族を失いたくないと思います。

忠告

ある日、六郎は屋敷に届いた荷物の片づけを手伝っていたところ、荷下ろしをしていた男性に「あんたァ、新しいご家族かね」と声を掛けられます。「嬢様もなに考えてんのかねぇ…異国人の考えるこたわかりゃしねえ…。あんた、ちゃんと出てこれるように頑張んなよ」と六郎は男に忠告されるのでした…。

今回ご紹介するのは、ここまでです。
雇われて作られた家族であっても、絆は本物のように思えました。希子が六郎に心を開いている様子は微笑ましかったですし、幸次郎や綾蜜のやりとりも本当の家族のようでした。それゆえに、最後の男の言葉がとても気になります。久遠は家族を作って何をしようとしているのでしょうか!?
六郎は新しい家族を護ることができるのか!?続きが気になる方は、コミックフェスタで配信中の『家族失格』を是非チェックしてみてください!

紹介作品

家族失格
加藤羽入
理想の「家族」を作るため…相応しくない者は「失格」です。雇われ家族達は残酷なおままごとから生きて出ることができるのか…?