花売りの少女

時は明治、文明開化で急激な近代化を遂げるも取り残されたものがいました。「お花ー、お花はいりませんか？」少女の名は琴子。家を追い出された琴子は、友人のやえと供に物乞いをしながら貧民街で暮らしていました。

「汚ねえ姿して目障りだ。もっと端っこ歩きやがれ！」琴子は街の住人にぞんざいに扱われることが良くありました。それでも、琴子はあの時に比べたらと思うのでした。

家を追い出された理由

「何をしてるの…！？」「違っ、こいつが俺を―！！」琴子はまだ家にいたとき、義姉の婚約者に押し倒されてしまい、その場面を義姉に見られてしまいました。「この目のせいで、わたしは…」琴子は婚約者を誘惑した疑いをかけられて、家から追い出されてしまったのです。

その後、琴子は貧民街に流れ着きます。「琴子ちゃんと一緒だからここで頑張れてるよ、ありがとね」「…っ、わたしのほうこそ…！」貧民街での生活はつらいこともありましたが、琴子はやえという友人がいたから生きていくことができました。

「よぉ、なんだ今日もそれだけか？」2人が食事をしているところに、やえが秘かに思いを寄せている五郎が麦飯を持ってやって来ます。五郎も琴子に良くしてくれました。良い友人に囲まれて、琴子は（今のささやかな幸せ以上のものを望んじゃいけない…）と思うのでした。

琴子の目を見た男は発情してしまい…

「花なんていらないって言ってんだろ！汚らしい貧民が！」ある日、花売りをしていた琴子は水を掛けられてしまいました。濡れてしまった服を着替えようと家に帰っている道中、琴子は五郎と出くわします。その時、琴子は髪で隠していた目を五郎に見られてしまいました。

（大丈夫、五郎さんはいい人だからきっと―）と琴子は思いますが、五郎に路地裏へ連れて行かれて押し倒されてしまいました。（この目を見た人は発情してわたしを襲ってくる…！）義姉の婚約者のように五郎は理性を失い、琴子に襲いかかったのです。

友人に拒絶された琴子

「琴子ちゃん！そこに花が落ちてたけど…」琴子は五郎に襲われているところをやえに見られてしまいます。「違う…誤解だ！こいつが俺を誘惑してきたんだ！！」五郎は義姉の婚約者と同じように琴子のせいだと話しました。

「…ひどい、ひどいよ琴子ちゃん。五郎さんのことを好いてるんだったら、そう言ってくれたらよかったのに…」五郎の話を信じたやえは狼狽します。琴子は事情を説明しようとしますが、「触らないで！もう二度とわたしに近づかないで！」とやえに拒絶されてしまいました。

値千金の体

（もう貧民街には帰れない。どこへも帰るとこなんてない。誘惑するつもりなんてないのに）失意に暮れる琴子は道端に座りこんでしまいます。そこにやって来た中年の男が、琴子の目を見て発情してしまいました。「いくらだ拾円か？いや五拾円か？」男は金で琴子の体を買おうとします。

（もうどうでもいい。わたしはこういう生き方しかできない運命なんだ）自暴自棄になっていた琴子は男を受け入れようとします。「失礼。身の丈に合わない商売はやめなさい。この体は値千金だというのに」そこに征一郎（せいいちろう）という男がやって来て、琴子を引き止めました。

「なんだ貴様は！」「悪いね、彼女は私と先約があるんだ」征一郎は男を睨みつけて、その場から立ち去らせます。「君は以前からここで商売を？それとも初めて？」「初めて…です…」琴子の言葉を聞いた征一郎はホッとした表情を浮かべました。

体が熱い―

「私が君を引き取って一生養おう。対価は君の体だ」征一郎は琴子を自分の屋敷へと連れて行きます。（一生養うって…それにこの豪華なお屋敷、この方は一体…）琴子は征一郎の話に困惑してしまいました。

「施しならば不要です。わたしは下賤ないやらしい人間だから…」「何を言う、君は美しい人だ」琴子は征一郎に目を見られてしまいます。「対価というのはその体を調べさせてほしい。君を助けるためにも」琴子の目を見ても征一郎は発情しません。反対に琴子が発情をしてしまうのでした…。