魔術学園の編入生

日本国唯一の魔術を専門とする高等教育機関、「裏国立　陽央道学園」。学園は国家で秘密裏に組織され、その存在は完全なる極秘扱いとなっています。その完全孤立の全寮制学園に設立以来初となる編入生の受け入れが行われました。

「はじめまして、僕はこの学園の生徒会副会長をしている者だ。君を案内するよ」編入生は副会長に誘われて、陽央道学園の門をくぐります。

犬猿の仲の生徒会長と風紀長

陽央道学園には学園運営の執行を担う生徒会と、学園の風紀を取り締まり、生徒会の独裁を監視する風紀会、2つの組織があります。そのトップである生徒会長の髙比良鷹臣と風紀長の獅子屋忍は、学園に大きな影響を与えていました。しかし、2人は目を合わせるたびに喧嘩をしていたのでした。

「編入生は当面、生徒会が受け持つと言っているんだ」「だから、それが問題だっつってんだよ」大勢の生徒が見守る中、鷹臣と忍は編入生の扱いで言い争いをします。忍は、生徒会が編入生を受け持つことで、生徒会の親衛隊が荒れると考えていました。

喧嘩をした後にキス！？

「生徒会が風紀を乱すとでも？」「お前らの飼ってるチワワ達のこと言ってんだ」鷹臣と忍は、指先に魔力を込めて魔術を行使します。その衝撃で2人がいたホールは壊れてしまいました。2人が争った事件はすぐに学園中で噂となったので、生徒会と風紀会が気にかける編入生には下手に手は出せないと生徒達は思います。

喧嘩をした後、2人きりになった鷹臣と忍は生徒会室でキスをしていました。2人の人差し指は先ほど魔術を使ったせいで真っ黒になっています。「まあ、キスで体液供給すりゃ治るけどな」2人は指を治すため、キスで体液を供給し合っていたのでした。

編入生のために喧嘩

「風紀長！あんたホールぶっ壊したでしょ！！」忍宛てに風紀会の副長から電話が掛かってきました。「あんたら友達のくせして、ほんとっ不仲営業やめてください！！！」「親友だし」犬猿の仲と言われる鷹臣と忍は、実はとても仲が良かったのです。

「まあまあ、アレ編入生のためだから」2人は編入生がいじめられないか心配をしていました。そこで、編入生の後ろには生徒会長と風紀長がいると生徒達に印象づけるために、生徒達がいる前で一芝居打ったのです。しかし、2人の思惑は外れてしまうことになります。

編入生いじめ

「あんたさあ、副会長様と親しげにしてたけどなんなの？調子乗ってんの？」編入生は生徒会の親衛隊に目をつけられてしまいました。「すみません？」「なんで疑問形なの！？」5人の生徒に周りを取り囲まれて、編入生は為す術もありません。

「おい、そこ。こんなところでなにをしている」「会長様！？」そこに鷹臣が現れます。「まったく、未遂だろうが名前はひかえさせてもらうぞ」鷹臣はそこにいる生徒の名前を全て覚えていました。名前を呼ばれた生徒達は動揺します。

魔術の暴走

「会長様に見らレた」その中の一人が「どうしよう、どうしよう、どうしよう」と激しく狼狽えると、指先から黒い煙がもくもくと立ちのぼります。「副会長様に軽蔑されてしまう」すると、生徒が指につけていたリングが壊れてしまいました。

「リングが壊れた！？一般生徒が破壊できるもんじゃないぞ」鷹臣は対魔術制御リングが壊れたのを見て驚きます。魔術をコントロールするリングは大人でも大半が装着し続けていて、自らリングを外せる学生は観測されていなかったからです。

「暴走するぞ！！」鷹臣は生徒に魔術を放ちますが、魔術の暴走を止めることはできません。そして、魔術の暴走で生徒の体からドス黒いものが溢れ出してしまうのでした…。