だからボッチなんだよ

琴乃は修学旅行で大阪を訪れていました。「3班はじゃあ今から学校のしおりどおりに…」「はぁ！？うそでしょ！？ちょっと待ってよ」琴乃は班でまとまって行動しようとしますが、他の班員たちは好きな人と一緒に回りたいと言い出します。

「空気読めなすぎ。それか…もしかして僻んでたりする？」「別にそんなふうには…」琴乃の考えは班員たちには理解してもらえません。

「もういいから本当つまんない奴だよね。だからぼっちなんだよ、琴乃って」班員たちは琴乃を置いて行ってしまいました。

関西弁の高校生

（大阪まで来て1人なんて…来るんじゃなかった…）琴乃は1人ぼっちになり、涙目になってしまいます。「どしたん？迷子にでもなったん？」琴乃は晶という地元の学生に声を掛けられました。

琴乃が晶に事情を話すと、晶は「なんやそいつら！しょーもない奴らやな！」と同情してくれます。「折角の修学旅行やねんし良い思い出にせな…」そう言って、晶は琴乃にたこ焼きを買ってきてくれました。

「熱っ…けどおいしい！」琴乃はたこ焼きを頬張ったあと、晶の分のたこ焼きがないことを気にします。それに対して、晶は笑顔で「そんなん気にせんでええって、せっかく大阪来てくれたんやし…楽しんだもん勝ちやで」と言ってくれました。

あなたをレンタルさせてもらえませんか！！

琴乃は、他の班員たちが修学旅行を満喫している様子をSNSで見てしまいます。「おっ、こっから結構近いやん。同じ班の子？合流するん？」と晶が琴乃に聞くと、琴乃は「お小遣い全部払うので、あなたをレンタルさせてもらえませんか！！」と晶にお願いしました。

最初、晶は笑っていましたが、琴乃の真剣な表情を見て「なんや分らんけど本気なんやな！ええ根性してるやん～！！」とお願いを聞き入れます。
「じゃあ一緒に行こうか、琴乃ちゃん」琴乃と晶はお互いの名前を教え合い、班員たちの元へ向かいました。

キスされた！？

「さっ…さっきこの人にナンパされたんです！だから…そのっ、私もカップルで楽しむので…どうぞ皆も自由にしてください！」琴乃は班員たちに晶を紹介します。
「レンタル彼氏でも頼んだ？」「金払ってまでとか…惨めすぎ」ですが、琴乃の言っていることは班員たちに信じてもらえませんでした。

（惨め…？そうだよね、私なんて―…）琴乃の目から涙が溢れそうになったとき、晶は「お前ら俺の女やから手だすなよ」と言って、琴乃を抱き寄せてキスをするように顔を近づけました。

「えっ…キスして」「は？マジ」班員たちからは琴乃と晶がキスをしているように見えましたが、実際はキスをしていませんでした。
「ごめんやけど、もうちょっとこのままな、良い感じに勘違いしてるから」晶に耳元で囁かれて、琴乃の顔は真っ赤になりました。

面白い子

「もっ…もう行こ、面倒こいつら」班員たちは2人の様子を見て、逃げるようにその場から立ち去りました。
「えらいえらい、よう頑張りました」晶に頭を撫でられて、琴乃の胸は高鳴ります。

「今日は…そのっ…無理を言ってしまってすみませんでした！」琴乃は晶に約束したお金を渡そうとしますが、晶は受け取るのを断ります。
「俺はおもろい子と会えたからそれで十分！ま、気いつけて帰りーや」そう言って、晶は笑顔で去っていきました。

今日から大阪人！

（この制服…晶さんが着てた…）晶と別れた後、琴乃は晶が通う高校のポスターを目にしました。

それから時が経ち、琴乃は両親を説得して寮生活の許可をもらい、晶のいる桃花下高等学校へ入学します。「今日から大阪人になるんや…！」琴乃は決意を新たにして、高校生活をスタートさせるのでした…。