私だけが本気になる恋はもうイヤだ

「田舎ではお米づくりの手伝いをしていたので、こう見えてトラクターの運転と力仕事が得意です」合コンに参加した紬は、みんなの前で自己紹介をします。紬は（今日は草食系男子をゲットするぞ）と意気込んでいました。

他の参加者であるチャラ男やウェイ系の自己紹介を聞いて、紬は（明るくて面白い人たちなんだろうけど…私だけが本気になる恋はもうイヤだ…）と思います。紬は上京してから、付き合っている男性に2股をかけられたり、セックスしたあとホテルに置いて行かれたりと、苦い経験ばかりしてきました。

(今度こそ末永く幸せにしてくれそうな穏やかで真面目な人と付き合いたい）と紬は願うのでした。

探し求めてた草食系男子

「同じく3年の東条要です。趣味は…読書と映画かな」席の端に座っていた要は、がっつく素振りを見せず、Sラン大や家柄のことを鼻にかけていませんでした。紬は要を見て、（これぞ探し求めてた草食系男子だ）と確信しました。

「あ、おコメさんだ。よろしく」席替えがおこなわれ、紬の隣に要がやって来ます。（遠目でも思ったけど、かっこよくて優しそうで、まさに正統派な王子様だな）緊張した紬が食べてばかりいると、要は「食べっぷりいいね。そんな美味しい？」と聞いてきました。（恥ずっ、食い意地張って見えた？）紬は赤面してしまいます。

「嬉しいよ。実は俺がこの店勧めたから」「お店詳しいんですか？」紬は上京して一番楽しみにしていたのは東京のごはんだったので、要の話に目を輝かせます。要は紬に色々と好みを聞き、おすすめのお店リストを送ろうとしてくれました。

いい感じだったのに…

「押しつけがましかったら、ごめん。役に立てるかもって思うと嬉しくて」と謝る要に、（ま、真面目…！！）と紬はキュンとしてしまいます。

「ちょっと紬ちゃん、こういう男に騙されちゃダーメ！」そのとき、紬と要の間にチャラ男の亭介が割って入ってきました。「こういういかにも『人数合わせです～』って顔してるやつが、結局ぜーんぶ持ってっちゃうんだから」と亭介は紬に忠告します。

（せっかくいい感じなのに邪魔された…）亭介は要の格好よさに嫉妬しているだけだと、紬は思いました。

俺、危険な男かもよ？

「最寄りT駅だっけ、方向一緒だし乗ってけば？」合コンが終わり家に帰ろうとした紬は、要に一緒にタクシーに乗っていかないかと誘われます。
「帰りに要に襲われんなよ！」「大丈夫ですよ、亭介さんじゃないんで！」亭介の言葉を紬は気にせず、要と一緒のタクシーに乗り込みました。

「でもあいつが言ってたみたいに、俺、危険な男かもよ？」と要に言われると、紬は危険な男の人は自ら警告しないと話します。
「なんだか、頼れるお兄さんって感じ」安心した紬は要の肩に寄りかかり、そのまま眠ってしまいました。

いきなりキス！？

「あれ、家…？」紬が目を覚ますと、家の前についていました。「すみません私―」紬は要に謝りますが、「気にしないで、俺もたまにあいつらの相手疲れるし」要は気にしていませんでした。

「やっぱ要さんが横にいたからかな。安心感が半端ないんでぐっすりでした。『要兄さん』って呼んでいいですか？」と紬は無邪気に笑います。
「あ、お礼にお茶でも…」紬が要を家に招き入れると、「…甘すぎて、この先心配だな」紬は要にいきなりキスをされてしまいました。

一番危険なのは…

「なんで…」「あんまり純粋なんで、優しい草食でいてあげるつもりだったけど…」要は先ほどのお兄さん扱いに傷ついたと話します。
「草食の皮かぶってるやつが一番危険なんだよ、俺みたいな」紬は要に服を脱がされてしまうのでした…。