自由研究に呪いの人形！？

「これはヒトガタっていう人形で名前を書いて身代わりにしたりします」小山は占い専門の本屋でもらった呪術全書を読み、自由研究で厄除けのお札や呪いの人形を作ってきました。
それを見た担任の先生から、「小山さん…？それは自由研究なの？」と言われてしまいます。

「私はバレエの舞台をマイクロビットというセンサー付きのミニコンピューターを使って再現しました」その一方で富山は、プログラミングで動く舞台の模型を作ってきました。富山の自由研究は、先生やクラスメイトからすごいと褒められます。

自由研究はお母さんがほとんど作った

自由研究のコンクールに選ばれたのは、富山の作品でした。「もう今のうちにサインもらっておいたほうがいいよね」小山が富山にサインをもらいにいくと、「やめてっ、いやみなの！？」と怒られてしまいます。

「わかるでしょ、普通小学4年生がこんなの一人で作れるわけないじゃん」富山は、自由研究をほとんど母親に作ってもらったと話します。母親は事あるごとに富山がやることに口を出し、言うことを聞かせていました。

「いつも気が付くとなんにも思い通りにならないの…」富山は母親の声をとてもうるさく感じ、聞いていると何も考えられなくなると悩んでいました。

呪いの人形に針を…

「よくわかんないけど、お母さんがうるさいってことなら…これ使っていいよ」小山は自由研究で作った呪いの人形を富山に渡しました。「ヒトガタのお腹の中にお母さんの名前を書いて、だまってって言いながら口に針を刺すの」小山は、富山の母親がうるさくなくなる方法を説明します。

「針…もってる？やってみる…」半信半疑の富山でしたが、小山の言う通りに「お母さん…だまって！」と言って人形の口に針を刺しました。

声は出なくなったけど…

富山が家に帰ると、母親は宿題をやるようにと言ってきました。母親は咳をして声を出しにくそうにしていましたが、富山が宿題をしている最中にいつものように口出しをしてきます。
「おねがいが足りなかったのかな」その夜、富山は「おねがい、本当に黙ってください」と針を人形の口に深く刺しました。

次の日の朝、母親は本当に声が出なくなってしまいます。富山は母親にあれこれ言われなくなり良かったと思いますが、母親は言いたいことを紙に書いて見せてくるようになりました。ダメ出しが書かれた紙を何枚も見せられて、富山は（しゃべれないのにどうしてこんなにうるさいの？）と思います。

手に針を刺しちゃえば

「たしかにお母さんは静かになったけど、文字で書かれるといつまでも残ってかえってキツイ…」富山は母親の行動を小山に相談しました。話を聞いた小山は「じゃあ手に針刺しちゃえば、きっと字を書けなくなるよ」と提案します。

「そ…それってちょっとまずくない？」と富山が聞くと、小山は心臓以外なら針を刺しても大丈夫と答えます。心配そうな富山に、小山は「刺しちゃえば」と笑顔で言いました。

いつまで頑張れば…

富山へのダメ出しの紙はどんどん増えていきます。紙は富山のランドセルの中にまで入っていました。それを見た小山は、「お母さんは富山さんにすっごく期待してるんだね！お母さんが満足してくれるようにがんばらなきゃだね！」と微笑みながら話します。

「がんばる…？いつまで…？お母さんが満足するまで…？」富山は母親が満足する日は来ないと思い、呪いの人形の手に針を刺してしまうのでした…。