嫌いな上司

華子は、課長の上條に企画書を今日中にブラッシュアップするように命じられます。華子は定時で上りたいと話しますが、「よろしく頼む」上條は有無を言わせませんでした。

「上條課長ほんっとキビしすぎ、あんな可愛くなったのに中身まんまじゃん」華子は同僚に上條の愚痴を言います。性別も含む持って生まれたスペックのおかげで出世できたくせに自分の手柄のように凄い人扱いされている上條に、華子は腹を立てていました。

性別が逆転した世界

（男になって半年、それまで私は―女だった）半年前、突然起きた『地磁気逆転』という現象で、世界中の生物の性別が反転してしまいました。華子を含めて周りの人間全ての性別が反転し、鬼と恐れられた課長の上條もカワイイ女性へと変身してしまったのです。

性別が反転し世の中は大騒ぎになりましたが、理由や解決策は分からず、このままでやっていくしかないというのが現状です。

彼氏が引きこもりに…

「遅くなってゴメンね、すぐカレー作るね」仕事が終わり家に帰った華子は夕食を作ろうとしますが、「ラーメン食ったからいらない」彼氏の一平はそのまま寝てしまいました。
一平は性別が男から女へと変わり、引きこもるようになってしまいます。一平はずっと頑張っていたバンドデビューが決まった途端、女になってしまったのです。

「最ッ低、ちゃんと怒んなよ華子ぉ」「そりゃ、怒りたいけど…」華子は一平のことを同僚に相談します。「せめてバイトくらいさせなよ」ここ半年の生活費は全て華子が支払っていました。
「このままじゃ一生結婚できないよ？」女性だった頃は華子にも結婚願望がありましたが、男になってからはどうしたいのかわからなくなっていました。

課長の姿に見とれていたら

（結婚…かぁ）妊娠をしない男なら結婚しても生活は変わらないとトイレで華子がぼんやり考えていると、個室から上條が出てきます。「上條課長！？ここ、女子トイレ！？」華子は無意識に女子トイレに入ってしまっていました。

手を洗う上條の姿がすごく様になっていて、華子はつい見とれてしまいます。上條に見ていたことがバレた華子は、「女になってまだ半年のはずなのに、すごい様になってるなって」元女として立場ないと話しました。

「そう思うならハンカチくらい持ちなさい」と上條に指摘されて、華子は（～ッ！！むかつくーッ！！）と心の中で思います。

じゃあ結婚して

家に帰った華子は、一平にバイトをしてみないかと持ち掛けました。「気分転換になるかもしれないし…」「人生賭けてたもの失くして気分転換ってなに！？」話を聞いた一平は激昂します。

「…でも、ずっとこのままってわけにも…」「…分かったよ。じゃあ結婚して」一平は今更やりたいことが見つからないので、結婚という永久就職の特権を使って楽したいと話します。
華子が困惑していると、一平は「女のとき、こんな考え少しも持ってなかったって言えんの？」と聞いてきました。

それでも男なの？お前

「女の『結婚したら楽できる』っていう目論見がだだ洩れのときの男の気持ち、今ならわかる？」と一平に言われて、「そんな言い方ヒドくない！？そう思ったなら、そのとき言えば良かったじゃない！！」華子は都合の良い一平に対して激怒しました。

「もー…無理…」「…そ、じゃあお前が出てってよ」出てけと言われた華子は、半年間家賃は自分が払っているから私の家だと反論します。
「それでも男なの？お前」ですが、一平に夜中に女を追い出して路頭に迷わすつもりかと言われてしまいました。

（なんなの！？都合よく女使ってそんな他力本願な奴、こっちから願い下げよ！！）華子は家から出ていき、1人夜の街をさまようことになるのでした…。