ねえ、飛ばないの？

「もうこんな世界生きていたって―」雨が降りしきる中、和夢は校舎の屋上から飛び降りようとしていました。（何を勘違いしてたんだ。ただの高校デビューのくせに―）和夢は片思いの相手・奥宮にフラれてしまったのです。

「ねえ、飛ばないの？―」「えっ？」そこに奥宮がやって来ました。「どうして奥宮さんが…」「順番待ち」奥宮は和夢を止めにきたのではなく、自分も屋上から飛び降りようとしていたのです。和夢が驚いていると、奥宮は「ここじゃない、別の世界にイクんだよ」と話し始めました。

あの時は手を取らなかったけど…

「お前そこで何してるんだ！！」和夢たちは先生に屋上にいるところを見つかってしまいました。「あーあ、見つかっちゃった。早く飛ばないから」「ごっ、ごめん…」和夢は奥宮になぜか謝ってしまいます。

「仕方ないな。じゃあ行こっか、吉田和夢くん」奥宮は和夢に手を差し伸べてきました。
（あの時、僕の手を取らなかった奥宮さんが僕に手を―）和夢は「どこに？」と聞くより先に、気づくと奥宮の手を握っていたのでした。

こっちのほうが苦しくないよ

「こ…ここは…旧校舎？」「そうだよ。ここならきっと誰も来ない」和夢は、奥宮に旧校舎の教室に連れて来られました。「さあ、ここなら誰にも邪魔されないよ」奥宮は飛び降りるよりも苦しくないと話し、和夢に錠剤を渡します。

「ねえ、でも本当にどうして奥宮さんが？」勉強ができて、キレイで、全てを持っている奥宮がなぜ飛び降りようとしていたのか、和夢にはわかりません。
「ないよ、私は何も持ってない」奥宮は、この世界には自分が欲しいものは何もないと話し、錠剤を飲み込みました。

「なっ、なんでだよ、ぼっ、僕は君に憧れて、君にフラれたから―っ」「和夢くんは私のせいで死のうとしているの？」奥宮の問いかけに、和夢は言葉を詰まらせます。
（そうだ、僕はこの世界の主人公じゃないって知ったから―）そして、和夢も錠剤を一気に飲み込みました。

やり残したことはないの？

錠剤を飲みましたが、和夢の身体に変化は起こりません。しかし、奥宮の方は身体をふらつかせ、和夢に寄りかかってきました。「だ、大丈夫？」「どうだろう？少し効いてきたみたい…」すると、和夢の方も頭がクラクラし、体もポカポカしてきます。

「ねえ、和夢くんはやり残したことはないの？」と奥宮に聞かれますが、和夢はすぐには思いつきません。「私はあるよ。私ね、まだしたことないんだ」和夢は、奥宮にエッチなことをしない？と誘われ、いきなりキスをされました。

ここではないどこかにイってみたい

（なんだよ、これ。僕フラれたのに）和夢はキスをされて、脳が溶けるような感覚を味わいます。和夢がこれは夢じゃないかと思っていると、奥宮は「それは誰にもわからないんだよ、和夢くん」と言って、服を脱ぎ始めました。身体を震わせ、息を荒げる裸の奥宮を見て、和夢は（奥宮さん、薬でおかしくなってるのかな…）と思います。

「これならすぐにできるね」奥宮は和夢のアソコが大きくなっているのを確認し、身体を重ねます。「本当にあるんだよ、他に世界が。ここじゃないどこかが。イってみたくない？」「うん。イ…イキたいっ」和夢は奥宮と激しく絡み合い、イってしまいました。そして、和夢は意識が遠のき、夢を見ているような感覚を覚えるのでした。

夢から醒めたら…

「ねぇねぇ！生きてる、生きてるわ！」「ああ…よ、よかった…」和夢が目を覚ますと、目の前には見知らぬ3人の女性が心配そうな顔で和夢を見ていました。
「えっ…ど…どこ？ここ？」と和夢が戸惑っていると、「あなたが魔王を倒したのよ。さすが伝説の勇者ね」と言われ、3人の女性に抱きつかれるのでした…。