『化け物でありんす~妖怪遊女狂い恋路』人間の男と化け物になった女の儚くも美しい恋の行方は…
2020/1/30更新
今回ご紹介するのは、コミックフェスタで配信している天野嘉仙先生の青年コミック『化け物でありんす~妖怪遊女狂い恋路』です。
時は幕末、人間を喰らう化け物が遊女をしている「黄泉の遊郭」を舞台に、儚くも美しい恋物語が描かれます。時治は化け物になってしまった幼馴染の霧松を守ることができるのでしょうか。人間の男と化け物になってしまった女。2人の恋の行方から目が離せません。
それでは、あらすじとともに作品をご紹介していきます。
色街の変わり種
丁半博打に勝った侍の時治は、儲けたお金で色街に遊びに向かいます。どの遊女に相手をしてもらおうか悩んでいる時治の元に、目の細い客引きが現れ「今日は“変わり種”をいかがです」と声をかけてきました。博打に勝って今日はツイてると思った時治は、変わり種も当たるかもしれないと考え、客引きに案内を頼みます。
案内された部屋で1人待っていると、そこに現れたのは赤い着物を着た霧松という遊女でした。時治は霧松と体を重ね合せ、「いい身体だ…」と堪能します。しかし「顔をよく見せてくれ」と言って霧松の顔を見たとき、時治は驚きます。
霧松は幼馴染のお松だった…
霧松は時治が可愛がっていた幼馴染のお松だったのです。子供の頃、お松は時治の事を「時兄」と呼び、とても慕っていました
お松は両親と暮らしていましたが、母親は病で体を悪くし、酒癖の悪い父親からは暴力を振るわれて、早くに亡くなってしまいます。そして、母親が亡くなっても父親の酒癖の悪さは治らず、暴力の矛先はお松に向かいます。
ある日の夜、父親に乱暴されて放心しているお松を時治は目にします。事情を聞いた時治はお松を抱きしめ、「俺が守るからな…お松…!!」とその時は誓うのでした…
霧松の正体は化け物!
時治が霧松はお松であることに気がつくと、霧松も相手をしていた男性が時治だと気づきます。そのとき、霧松がかけていた布団が突如せり上がります。布団がはがれて見えたのは、下半身が大きなムカデの足に変化した霧松の姿でした。
霧松は大声で「ここへ来てはなりんせん!」と忠告して去っていきます。霧松はそのとき、目に涙を浮かべていました。おぞましい姿になっても、時治を思う霧松の姿はとても美しいです。時治は霧松を呼び止めますが…
黄泉の遊郭
時治は目覚めると、自分の家にいました。昨夜あったことを思い出した時治は、霧松がいた遊郭を探しに街中を走り回ります。しかし、いくら探しても遊郭は見つかりません。探し疲れた時治は、一休みするために茶屋に入ります。
時治が茶屋の店員に昨日訪れた遊郭を見つけられないと話していると、そこにいた中年男性から話しかけられます。「“黄泉の遊郭”ってのを聞いたこたぁあるかい」時治は「黄泉の遊郭」が気になり、詳しく話を聞くことにしました。
「黄泉の遊郭」にいる遊女は皆が、実は化け物で、訪れた人間を食べてしまうと中年男性は話します。行ったら戻ってこられない「黄泉の遊郭」を訪れた時治がここにいるのは、夢を見ていたか、生かされたかのどちらかだと中年男性は言います。かつて守ると誓った霧松が化け物に変わってしまったことを思い、時治はうつむくのでした。
夫婦のいざこざに巻き込まれた時治は…
「お侍様っ!どうかお助けを!!」茶屋から出た時治の元に、女性が助けを求め駆け寄ってきました。続いて刀を抜いた男性が怒鳴りながら近づいてきます。「お前ぇか!おれの女房と浮ついていたのは!!」男性は時治を女房の浮気相手だと勘違いしていました。
時治の弁解を聞かないまま、男性は斬りかかってきます。時治も刀を抜き応戦して、男性の首筋に刀を突きつけました。しかし戦いの最中、時治は昨夜遊郭で出会った細目の客引きを見つけ、気を取られてしまいます。
「どこ見てやがるっ!!」時治は、隙を突かれ男に額を切られてしまいます。「もはやここまでか―…」致命傷を負った時治は、そのまま意識を失ってしまうのでした…。
今回ご紹介するのはここまでです。
時治を生かした霧松、化け物になってしまった霧松を思う時治。時がたち、姿が変わっても、お互いを思い合っていることが感じられて、胸が苦しくなりました。華やかな遊郭を舞台にしているからこそ、2人のやるせなさがより一層際立っています。
霧松は何故「黄泉の遊郭」にいて、化け物になってしまったのでしょうか?斬られてしまった時治はもう一度、霧松と会うことができるのでしょうか?2人の恋の行方に注目です。
作品に興味を持たれた方は、コミックフェスタで配信中の『化け物でありんす~妖怪遊女狂い恋路』を是非チェックしてみてください
紹介作品
- 化け物でありんす~妖怪遊女狂い恋路【フルカラー】
- 遊女の姿をした化け物が、人を喰らうと言う「黄泉の遊郭」。そこで再会し、愛し合ってしまった妖怪と人間。その恋路の行方は―。