アイドルと結婚の約束

「急な引退ですが、何か理由が？」「やりたいことがあるんです」国民的アイドルである愛佳は、二十歳目前で突然芸能界を引退します。「な～にが末吉だよ、もう今年は大凶だろうが」大輔はおみくじを見ながら、応援していた愛佳の引退を嘆いていました。

10年前、大輔は近所に住んでいた愛佳を妹のように可愛がっていました。「あたし、お兄ちゃんと絶対結婚する！ね？大人になったら結婚！」大輔は幼い愛佳と結婚の約束をします。しかし、そのあと愛佳は引っ越してしまい、次にその姿を見たのはテレビの中でした。

け・っ・こ・ん、しに来たよ

（まぁ…俺のこと自体とっくに忘れてるか）大輔が小さくため息をつくと、玄関のチャイムが鳴ります。「なんか頼んでたっけ…？」大輔が玄関のドアを開けると、「久しぶりだね、お兄ちゃん！け・っ・こ・ん、しに来たよ」目の前には愛佳が立っていました。

（えっ！？…愛佳ちゃん！？嘘…だろ）驚いた大輔は思わずドアを閉めてしまいます。「なんで！？ちゃんと10年待ったのに～！」すると、愛佳が玄関の前で泣き始めてしまったので、大輔は慌てて愛佳を部屋に入れました。

結婚って言ったらすることは…

「てか、何しに来たの？」「何しにって…もうさっきも言ったよね？結婚しに来たの！あとは…分かるでしょ？」愛佳は大輔の目の前で突然服を脱ぎ始めます。（愛佳ちゃんが俺と…！？）大輔がドギマギしていると、愛佳は大輔に抱きついてきました。

大輔と愛佳は裸になり、ベッドの上で抱き合います。「もう私はみんなのアイドルじゃないから、お兄ちゃんだけの愛佳だよ…」愛佳に誘われて、大輔は愛佳に思いの丈をぶつけました。

「お兄ちゃん！」「あ…え！？」愛佳と裸で抱き合っていたのは大輔の妄想でした。「すぐ自分の世界に入っちゃうんだから」大輔は愛佳に呼ばれ、現実に引き戻されます。

ストーカーが窓の外に！？

「…あの…俺、えっと先にシャワーに…」大輔が部屋から出ようとすると、愛佳に引き留められます。愛佳は、「盗聴されてる。話を合わせて」と書かれたスマホの画面を見せてきました。「ゆっくり窓をみて」大輔は、カーテンの隙間から部屋の中を覗いている人影を見ます。

（まさか…愛佳ちゃんのストーカー！？）大輔が仰天していると、愛佳は大輔をソファに押し倒しました。「ボーッとしてないで、ほら触って…？」下着姿の愛佳に抱きつかれて、大輔の鼓動は大きくなります。「私のやりたいことは…お兄ちゃんとの子作りだよ」大輔は意を決し、愛佳にキスをしようとしました。

ストーカーの正体は…

2人がキスをしようとしたとき、外にいたストーカーが窓をガタガタと揺らします。（そ…そうだった！！）大輔がビックリすると、愛佳は躊躇なくカーテンを開けました。「ほら、本気だって言ったでしょ？」「愛佳ならソロでも…天下…取れるのにぃ…！」外にいたのはストーカーではなく、愛佳のマネージャーでした。

愛佳は、マネージャーが結婚のことを信じてくれなかったので、大輔と仲良くしているところを見せつけようとしていたのです。「縁切り神社にお百度参りしたのに！！こうなったら逃げんじゃないわよ！！」マネージャーは涙を流しながら、大輔に迫ります。

待ち人、超来たる！？

（神社…そういえば、あのおみくじ『待ち人』って愛佳ちゃんのこと？）大輔はおみくじに「待人、超来たる」と書かれていたことを思い出しました。「ここに判子押してくださいよ！」マネージャーは婚姻届けを大輔の前で広げます。大輔が戸惑いながらも判子を押そうとすると、「ストップ！！」と声を掛けられました。

「大輔くんと結婚するのは、この私なんですけど！？」大輔たちの前に現れたのは有紀（ゆき）という女性です。「私との約束忘れたとは言わせないわよ」大輔は有紀とも結婚の約束をしていました。

「おい！大輔…お前いい度胸してんなぁ！」さらに、大輔と初詣の約束をしていたサツキも、大輔たちの前に現れるのでした…。