江戸は吉原、色欲<いろ>でわきたつ花街遊郭。華やかに見えるその世界は、女たちにとっては借金、強欲、折檻、嫉妬にまみれた「苦界<くがい>」と呼ばれる地獄…。そこに生きる女郎・牡丹<ぼたん>は、ここでしか生きられぬ身なら、たとえ地獄でも自分らしく生きるしかないと気を張り続ける。そしていつか抜け出してみせると心に決めていた。自分を拾い、育ててくれた女郎・散り菊のように…。楼主からの折檻や、牡丹にライバル心を燃やす胡蝶<こちょう>の嫌がらせに耐え、見店<みせ>の一、二を争う女郎となっていく牡丹。しかし、かつての想い人との再会と、慕っていた散り菊の消息を知ることで、牡丹の生きる道が大きく変わっていくことに…!!