反芻者続出の話題作。待望の単行本化!
大ボリューム本編212Pに加え特別描き下ろし16Pを収録。
「このえり巻
先に特攻で逝った人から貰ったんです」
1945年3月、徳島。
報道の為、特攻隊の写真を撮影に来ていたカメラマンの淀野は、田中志津摩一飛曹の朗らかな笑顔に惹かれながらも、彼の運命を思い、うしろめたさを覚えてしまう。
ある晩。
不意に淀野のもとを訪れた志津摩。
話し込むうちに、レンズ越しには見えなかった深淵が――。(『田中志津摩一飛曹編』)
時は第二次世界大戦末期。苛烈な争いのなか、國の為、自らの命を武器に闘うべく募られた特別部隊。“神風特別攻撃隊”――……。
焦燥、憧憬、苦慮、希望、そして慕情。
生命の灯が揺らぐ日常で、魂をぶつけあう漢たちの秘められた夜6編に加え、
特別描き下ろしを1編収録。
濃厚な筆致と人物描写で描きあげるオムニバスストーリー、劣情の上巻。