『コントラパソ』--沈黙の独裁に挑む者たち
この国では、真実が最も危険な記事になる。
スペイン、1956年。雪に覆われたマドリードの街を、沈黙が支配していた。
独裁者フランコの鉄の支配下、真実は闇に葬られ、新聞は嘘を語る。
だがある“自殺”が、すべてを変える。
エミリオ・サンス。内戦中はフランコを支持したが、政権に幻滅している。
レオン・ルノワール。父は戦争で命を落とした反体制派。
正反対の信念を持つ二人の記者が、ひとつの死を追う。
それは、国家が隠した“真実”への扉だった。
彼らが暴くのは、独裁政権下のスペイン社会に潜む闇。
名士たちの偽りの顔。
そして、沈黙を強いる恐怖の構造。
テレサ・バレロが描くのは、ただの犯罪ではない。
それは、歴史に刻まれた“声なき叫び”--『コントラパソ』。
沈黙を破る者に、自由はあるのか。